【「100周年記念セール」を告知する店内で4代目店主の富永さん】

 1926(大正15)年7月4日、三重県名張市柳原町で青果店として創業して以来、今年7月でちょうど100周年を迎える富永米穀店(同市桔梗が丘5番町)。4代目店主の富永憲秀さん(50)に、老舗を経営する上でのポイントや今後の抱負などを聞いた。

 富永さんが3代目の父・湧揮さんから店を継いだのは、塾の講師をしていた2006年、30歳の時。「自分としても転身を図りたいと思っていた時で、会社経営にも興味があった」と振り返る。

 しかし店の経営は厳しく、「スーパーなどでも米を扱う中、米屋としての特徴・強みを出さないと生き残れない」と考えたという。

店内にある精米室=いずれも名張市桔梗が丘5番町で

 まず取り組んだのがネット販売だった。米の食味ランキングで最高位の「特A」を連続で獲得していた伊賀米コシヒカリの認知度を上げるためには、店売りだけでは限界があった。まず自社サイトを立ち上げ、その後、楽天市場に出店してから軌道に乗り始めた。

 次に、健康志向もあって、雑穀米の販売に力を入れた。湧揮さんが兵庫県で自然栽培を始めた黒米の他、7種類の雑穀をブレンドした「七福米」、5種類の大麦をブレンドした「大麦づくし」などを販売すると反響があり、手応えを感じた。

 同時に富永さんは、「3つ星お米マイスター」「雑穀エキスパート」の資格を取得。現在は伊賀・名張では唯一、県内でも5人しか取得していないといわれる「5つ星お米マイスター」を取得している。「米を知り尽くしたマイスターが売る専門店という信頼性が大切と考えた」と話す。

 その後も米専門店ならではの独自策を次々と打ち出していく。1キロ単位の玄米量り売り、三分づき、五分づき、無洗米など、顧客の好みに合わせた精米方法、玄米30キロの購入層には必要な分だけ精米し、残りは店で無料で預かるサービスなどを始めた。

人気のギフト米

 また、伊賀米のコシヒカリとキヌヒカリ、三重県産のミルキークインと結びの神など地元産・県産の米の品ぞろえを充実させてスーパーなどとの差別化を図っている。

 更に人気があるのはギフト米だ。「赤ちゃん米」は、出産の内祝いとして名前と顔写真などを専用袋に自社でプリントし、出生体重と同じ重さの米を詰め、メッセージを添えて贈るもの。この他、父の日祝い、開店祝いなどに贈るギフト米もあり、好評だという。

 「こうしたアイデアは全て、他店での成功事例を参考に当店のオリジナルを加えて採用したもの。伊賀米の価値を高めて拡販を図ることで、米屋はもちろん、50軒ほどある契約農家さんともウインウインの関係になれば」と話す。

 富永さんは、同店が現在の桔梗が丘に出店する前に営業していた上本町サンロード商店街の復興や、名張市旧町の活性化などにも積極的に関わっている。「100年間お世話になっている名張市を、もっともっと盛り上げたい」と話す。

 100年の節目を迎え、「大正15年から、戦争や時代の変化を乗り越えながら店を守り続けてくれた先代たちに感謝している。そして何より、当店を支えてくださったお客さまとおいしい米を作り続けてくださる生産者の皆さまに、更に創業以来ずっと見守り続けていただいた地元名張の皆さまに、心から感謝の気持ちでいっぱい」と話す。

 今後については「これからも米文化や伊賀米の魅力を次の世代へしっかりつなぎながら、地域に必要とされる米屋であり続けたい」と笑顔で語った。

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