【収穫したブロッコリーを手にする上井さん=伊賀市で】
三重県伊賀市川合で農業に取り組む上井真代さん(35)は、理学療法士から農業へ転身した異色の経歴を持つ。父の山﨑喜則さん(66)とともに、約13万平方メートルの農地で米や麦などを栽培する他、年間50種類以上の野菜作りに励んでいる。
福祉の道を志したのは、家族が介護サービスを利用したことがきっかけだった。高校時代に介護福祉士の資格を取得し、専門学校で理学療法士の資格も取得した。
卒業後は岐阜県内の訪問リハビリの事業所に勤務後、出産を機に地元へ戻り、育児休業を挟みながら働いた。理学療法士としての勤務は約6年間だったが、3人の子どもを育てながら利用者と向き合う日々は、心身ともに負担が大きかったという。
販路広げる
転機は、休日に父親の農場を手伝ったことだった。「農作業をしていると無心になれた。気付けば畑にいる時間が一番楽しくなっていた」
思いは次第に強くなり、2年前に農業へ本格参入。理学療法士の仕事を離れ、農地も取得した。
現在は父親と二人三脚で農場を切り盛りする。父の米作りやきのこ栽培を支える一方、ブロッコリーやキャベツ、ピーマンなどの野菜作りを主に担当している。
販売にも工夫を凝らす。伊賀の里モクモク手づくりファーム(西湯舟)内の直売所へ出荷する他、ママ友らの口コミで販路も広げている。
「子育て世代だからこそ、どんな野菜が求められているかが分かる」と上井さん。地域との交流にも力を入れ、マルシェの企画などにも取り組む。

今年は重さ100キロを超えることもある巨大カボチャ「アトランティックジャイアント」の栽培も始めた。「農業に興味を持ってもらうきっかけに」との思いから、農場の“広告塔”として道路沿いで育てている。
一方、子育てとの両立は今も大きな課題だ。「やりたい作業があっても、まずは子どもが優先。思うように進まないこともある」と苦笑する。それでも、小学5年生の長女が進んで農作業を手伝ってくれることや、ママ友親子が芋掘りなどで畑に集まることが励みになっているという。
山﨑さんは娘について「最初は何でも否定していたけれど、最近は経験談にも耳を傾けてくれるようになった。だんだん頼もしくなってきた」と目を細める。数年後には農場を任せる考えだ。
「できる範囲で続けることが大切」と上井さん。地域とのつながりを大切にしながら、今日も畑に立つ。


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