【2022年にあった特別自主公演では、左遣いを師匠の勘十郎さん(右)、主遣いを桐竹さんが務めた(桐竹さん提供)】

 ユネスコ無形文化遺産「人形浄瑠璃文楽」の舞台で、三重県名張市桔梗が丘西出身の人形遣い・桐竹勘昇(本名・奥村風馬、旧姓・八木)さん(36)が活躍している。人間国宝の桐竹勘十郎さん(72)に入門して11年。師匠のもと、人形に命を吹き込む伝統の技を磨いてきた。担い手として着実に歩みを進める中、3月下旬には地元で初の文楽講座を開く。

新聞記事きっかけに文楽の道へ

 小学校から高校まで地元の学校に通い、剣道に打ち込んだ。大学卒業後に福祉業界へ一度は進んだが、自己表現の世界へのあこがれから進路を再考。22歳の時、新聞で文楽研修生のなり手不足を報じる記事を偶然目にし、心が動いた。当時、実際の舞台を見た経験はなかったが、「文楽という世界に触れてみたい」と感じ、応募を決意したという。

 江戸時代初期に大阪で成立した文楽は、物語を語る太夫、三味線弾き、人形遣いの「三業」で構成される総合芸術。国立劇場文楽第26期研修生となった桐竹さんは、2年間の研修で三業の基礎を学んだ後、「一歩引いた位置から自己表現でき、自分に合っているかもしれない」と人形遣いを専攻した。研修修了後、25歳で勘十郎さんに弟子入りした。

3人で1体を操る

 文楽の人形は3人で1体を操る。頭と右手は主遣い、左手は左遣い、両足は足遣いが担当する。主遣いは顔を出すが、左遣いと足遣いは黒衣姿で存在感を消す。「足遣い10年、左遣い15年」と言われ、段階的に技量を積み上げる世界だ。

人形「酒屋のお園」を操りながら文楽の道に進んだ経緯を話す桐竹さん=名張市南町で

 桐竹さんは現在、勘十郎さんが主遣いを務める人形の足遣いを担当する。師匠の腰に腕を当て、体重移動やわずかな合図を読み取りながら足を動かす。人形は鎧武者など重いもので約10キロに及び、長時間、中腰で保持する体力も必要とされる。役柄によっては、桐竹さんが主遣いを務めることもある。

 公演は1日3部制で、朝から夜まで約20日間続く。大阪、東京、地方を毎月のように巡るため、体調管理も欠かせない。

 今後について桐竹さんは「主遣いとして大役を任される技量を身につけることが目標」とし、「いつかは巡業で名張のホールに立てれば」と語る。文楽は歌舞伎や能に比べて認知度向上が課題とされており、「講座で地元の皆さんに、まずは文楽というものがどんなものかを知ってほしい」と話した。

「知る講座」地元で初開催

 桐竹さんが講師を務める「文楽人形を知る講座」が3月24日午後2時から、名張市蔵持町里のベルウイング武道交流館多目的ホールで開かれる。参加費1000円、高校生以下無料。

 講座では、人形の解説や実演、参加者が実際に人形に触れることができる体験などがある。

 問い合わせは桐竹さん(050・1784・5151)まで。

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