【並んだ掛け軸を紹介する河口館長=伊賀市上野忍町で】
三重県伊賀地域で伝統的な工芸品や技、手仕事などを仕事場や自宅で公開している「伊賀まちかど博物館」。このほど新しく3館(河口節穴洞、伊賀古民家ギャラリー和、伊賀・風鈴屋敷「風処」)が加わり、現在92館が登録されている。新加入の3館を順次、紹介していく。
「河口節穴洞」というユニークな名前の由来について、「素人の私が節穴の目で集めた掛け軸を、洞穴のような薄暗い通り土間に並べているので」と語る館長の河口亨さん(69)。伊賀市上野忍町にある建物は、30年ほど前まで河口さんの父親が酒店を営んでいた。
玄関から続く約20メートルの通り土間には、掛け軸に表装した品、表装していないまくり状態の品など、幅や長さの異なる作品が並んでいる。外の光が入ると繊細な筆遣いなどが見えにくい上に、変色などの劣化がしやすいこともあり、周囲は薄暗い。
元々、絵画や陶器など美術品に興味があったという河口さんは、45歳ごろからネットオークションで掛け軸を買い始めた。
現在展示されているのは江戸初期の狩野尚信とその子常信の三幅対、明治から昭和初期に活躍した島田墨仙の寒山十得図、幕末の文人画家・田能村竹田の布袋自画像、藤堂藩ゆかりの岡田半江の山水画、土佐派や住吉派のやまと絵など約20点。
「素人の私が集めたものだから、本物かどうかは定かではありません。ネットで売りに出されていたこれらの作品を、もう一度多くの方の目に触れ、評価していただきたいという気持ち」と話す。
「書き直しのできない墨絵には、一気に書き下ろす筆の鋭さや作者の意思を感じる。墨の濃さや筆のタッチ、絵に添えられた漢詩も、作者の境遇や時代背景を知ると更に味わい深くなる。そこが掛け軸の魅力」と話す。
全ての作品はデータ管理
現在、同館には掛け軸の他にびょうぶなど約360点の作品が納屋に保管されているそうで、全ての作品はデータ管理されている。今後について、「高校の美術クラブとコラボし、地域のイベントや季節ごとに展示作品を並べ替える作業を一緒にやっていければ。若い人にも古き良き美術品に興味を持ってほしい」と河口さん。
同館は、午前1組、午後1組、それぞれ3人以下の予約制。開館時間は午前10時から午後5時まで。駐車場はなく、公共交通機関(伊賀鉄道茅町駅から徒歩10分)の利用を呼び掛けている。
問い合わせは同館(0595・21・1198)、または河口さん(080・4545・6710)まで。


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