【5年ぶりに奉納された能楽=伊賀市槙山の真木山神社で】

 三重県伊賀市槙山の真木山神社で4月18日、春の例大祭(岡本和宣宮司)があり、約300年前から続く能楽が境内にある茅葺の舞台で5年ぶりに奉納された。2020年から23年の間の例大祭は新型コロナウイルス感染症の拡大防止などで神事のみ行われていた。

 同神社の能楽は宝永年間(1704‐11)に始まったとされ、大和国の能楽師が信楽の峠を越えて伊勢参りに向かう途中、槙山の里で急な腹痛に見舞われ、同神社ののぼりを見て「腹痛を取り除いてくださるならば、必ず例祭で能を奉納させて頂きます」と祈り、治癒した礼として約束を守り、毎年奉納していると伝わる。

 拝殿で神事が始まると、奈良市在住で金春流能楽師の金春穂高さんら4人が神前に深々と礼をし、能の「翁」や仕舞の「高砂」などを披露。楽しみにしていた地元の住民や見物客らが久しぶりの能楽を堪能した。

 例大祭では、担ぎ手が児童から氏子青年らに代わったが、みこし行事も復活。神事では地元地区に住む市立阿山小4年の女子児童3人が初めて舞を奉納した。

 氏子総代長の服部伊久夫さん(71)は「皆さんのおかげで無事終わって良かった。能を楽しみにしていた人もたくさん来てくれた。毎年続けられることを願っている」と話した。

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