【地元の囲碁愛好家と対局する山岡さん=伊賀市で】

 幼少期から囲碁に親しんできた、三重県伊賀市立緑ヶ丘中3年の山岡篤弥さん(14)(同市下友生)は、5月1日付でプロの囲碁棋士になった。「この人ならこういう打ち方、と認識してもらえるような、応援されるプロになりたい」と意欲を見せる。

 白黒2色の石を並べ、囲んだ領域の広さを競う囲碁は、アジアを中心に競技人口が多く、チェスや将棋などと並ぶ「マインドスポーツ(頭脳スポーツ)」として愛好者が多い。

原点は祖父との対局

 囲碁をたしなむ祖父の小澤美樹さん(82)の影響で小学校入学前から興味を持ち、ルールや打ち方を覚え始めた。小学校入学後は小澤さんとの対局以外にも、市内や津市、四日市市の碁会所に通い、腕を磨いていった。

 小1の冬、地元の囲碁大会に当時最年少で出場したのを皮切りに、半年後には兵庫県での「こども囲碁天元戦」の中学生以下クラスで優勝。小4の夏には三重県大会で優勝して全国大会に進み、出場70人中ベスト8に食い込んだ。「強いと言われていた相手に苦労しながら勝てて自信になった」と、プロを目指す上でのターニングポイントを振り返る。

 小学生の間は囲碁の他に野球や水泳、ピアノも習っていたが、「プロ棋士になることを思い描いていたのは小学1、2年のころから」だという。さまざまな大会に出場して経験と実績を積み、小5の4月に関西棋院(大阪市中央区)の院生(プロ候補生)となった。

免状を手にする山岡さん(家族提供)

 囲碁でプロになるには、中2までに日本棋院(東京都)か関西棋院の院生となり、院生同士の対局を重ねて、男子は18歳、女子は20歳までに初段に昇格する必要がある。プロ棋士は初段からスタートし、九段が最高位だ。

「詰碁」で強く AIも活用

 新型コロナの影響で対局や対面での指導が制限されていた時期もあったが、プロを目指す同世代のライバルたちと高め合い、中2の昨年末には1級、今年2月には初段格となった。プロとなるためには初段格で月間12勝4敗以上の成績を残すことが条件だったが、翌3月に見事達成した。

 院生になる以前から師事する瀬戸大樹九段(42)=三重県出身=は関西棋院の棋士会長も務めるトッププロ。山岡さんは「しっかり陣地を取って確実に攻めるのが瀬戸先生なら、自分はひたすら攻めて勝ちに行く棋風。好みの手は違うが、自分が打ちたい手を打たせてくれる」と語る。

 瀬戸九段は「小4で初めて対局した時に驚いたのは、とにかく戦いが好きで、プロ相手でも物おじせずどんどん向かってくる棋風で、大きな可能性を感じたことを覚えている」と評価する。「真面目に勉強を続け、力をつけてくれてうれしい。学業と囲碁棋士との両立を目指していると思うが、厳しいプロの世界で戦っていくにはこれからの努力が大切。初心を忘れず、将来は伊賀市や三重県を盛り上げる存在になってくれることを願っている」と期待を寄せた。

 平日の下校後はオンライン対局や「詰碁」に打ち込む。「強くなるにはトレーニングとして詰碁が効果的」だそうだ。将棋と同じくAI(人工知能)との対局も日常的になってきたが、「対局の内容や展開が似かよりがちになるので、人としての個性を出していきたい」と考え、自分の対局の結果をAIを通して検討するなど活用している。

 5月からは勉学とプロ棋戦の対局を両立させる生活になるが、「まずは一つでも多く勝つこと。段位を上げ、タイトルを取れるよう頑張りたい」と語った。

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