三重県伊賀市が2021年度に随意契約した公共工事4件に対し、森中秀哲市議(59)=草の根・無所属フォーラム=が競争入札を回避するため意図的に分割発注したのは違法で、競争性のある適正価格で契約した金額との差額を補てんするよう岡本栄市長に求めた住民監査請求で、市の監査委員は「明らかに損害が発生しているとは認められない」と請求を棄却した。しかし、契約の一部については「著しく不当とみなすべき事実があったと言わざるを得ない」と指摘した。

 監査結果の公表は3月7日付。報告書によると、「常識的に考えて理解し難く、著しく不当な契約事務手続き」と監査委員が判断したのは、住宅課による工事請負契約の2件総額250万8000円で、建築当時は1棟2住戸だったが、壁を取り去るなど過去の改修工事で現在は1棟1住戸の市営住宅「大土団地」。市監査委員は「同一の建物に対する同一内容の工事を同一業者に対して、別々の工事として区分し契約を同時に進めているということになる」とし、「契約を分割したものではないとする住宅課の主張と相違している」と指摘した。

 別の2件は、旧佐那具保育所のオイルタンク廃止工事と浄化槽撤去工事の総額156万2000円で、市監査委員は「著しく不当な契約事務手続きとまでは言えない」と判断した。市の会計規則では、随意契約が可能な工事は予定価格が130万円以下と定めている。

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