【青山高原の山中で沢を渡る市川さん=伊賀市で】

 「山は家のよう。『ただいま!』と帰る感覚」と語るのは、三重・奈良・滋賀県を中心に日帰りの低山巡りに夢中の名張市美旗町池の台東出身の塾講師、市川里奈さん(34)=津市在住。有名な山だけではなく、地図に名が載っていない峰をも目指し、多い時は週3回登る。「山は高さだけじゃない。近場にもディープな魅力がある」と話す。

 大阪環状線一周ウォーキングに何度も挑戦するなど、元々歩くことが好きだったという。近年は、名の付く山だけでも年間150から200ペースで頂に立つ。「マイナーなほど特別感があり、そこでしか見ることのできない風景を発見する楽しさがある」と話す。

 子どものころも家族で山登りをしたことはあったが、本格開始は4年前。伊賀富士とも呼ばれる尼ヶ岳(標高957メートル、津・伊賀市境)を両親と一緒に訪れた際、しばらく離れていた大自然を感じ、山に対する「スイッチが入った」という。

 その後は10か所目、100か所目といった登山回数の節目や、「鈴鹿セブンマウンテン」「津10山」「亀山7座」など複数がセットで紹介されている山々の制覇などを目標に、毎週のように頂を目指すようになった。塾の仕事は夕方からの出勤が多いため、午前中に“仕事前登山”を楽しむこともあるとか。マイナーな山も含め、訪れた場所の情報はSNSで発信している。

苔の絶景や独特の山容も 備えは入念に

 市川さんには、太古の火山活動によって独特な山容が楽しめる室生火山群など、お気に入りの山がいくつもあるものの、これまでで最も印象的だった場所には、鈴鹿山脈のイブネ(標高1160㍍、滋賀県東近江市)を挙げる。「雨乞岳から歩いて行くと突然、苔で覆われた幻想的な光景が広がった。この世のものとは思えない美しさだった」と絶賛する。

 一方で、「低い山でも、決して気を抜いてはいけない」と力を込める。「山では全てが自己責任。スマホのGPS(全地球測位システム)で、電波が届かない所でも自分の位置を確認できるアプリもあり、おすすめ。遭難しないよう、事前の情報収集など、入念すぎるほどの備えをしなければ」と話した。

苔が山上に広がるイブネ(市川さん撮影)