【「公法上の債務」であると市が判断した法的根拠に疑義を抱かせる“不都合な文書”(画像上部、一部加工)】
設置条例ない市営住宅駐車場
規定する条例がないのに三重県伊賀市が市営住宅駐車場の使用料を20年以上も違法に徴収していた問題で、YOUが入手した内部資料に時効や返還対応など「公法上の債務」であると市が判断した法的根拠に疑義を抱かせる“不都合な文書”が含まれていることがわかった。弁護士である市の法務統括監が考察などを示したこの文書について、市側は明確な説明をしていない。
法務統括官の考察
この文書は情報公開請求で開示された市長提出資料の一部。同問題で時効の規定を地方自治法(公法上の債務)か民法(私法上の債務)のどちらに求めるかは最高裁の判例が現時点で出ておらず、法務統括監がそれぞれの考え方などをまとめている。
興味深いのは、法務統括監が「ある程度の理屈を付け説明するのは可能である」とする一方、最高裁で判断される場合は「時効は民法に従うと判断される可能性が高い」との考えを示した点だ。同市が法解釈の根拠にする別の最高裁判例にも触れ、「直接時効に対し判断したものではなく、かなり行政側に都合よく判例を解釈したもの」と指摘する。
「下級審の判例でも存在しない」
また、この問題を公法上の債務とした場合は「行政に有利となる構成は民間との不公平感を極力無くそうとしている昨今の最高裁の判断にはなじまない」と言及。利点は「時効処理が簡素」、欠点は「下級審の判例でもこの法律構成は存在しない」などを挙げた。私法上の債務とした場合は数件存在するとしている。
同問題を巡っては、6月議会に消滅時効が発生しない最大5年分の過誤納返還金約168万円を盛り込んだ一般会計補正予算を市が提出。26日の本会議では「予算の適否を判断するのに報道内容を含め事実関係や法的根拠の十分な説明を受ける必要があり、執行を認めることは適当でない」と市議6人が修正動議を提出したが、採決では10対10の可否同数となり、議長採決で否決された。
稲森稔尚市長は市議会本会議前日の25日に開いた定例会見で、YOUの同文書に対する質問に「読んだ記憶がない」と答えた。26日の議会後の記者会見では「速やかに入居者の皆さんに返還したい。議会からも疑義が出たので、法的な根拠については広く丁寧に説明したい」と話した。
担当の住宅政策課長は7月3日、同文書についてYOUの取材に「議会前にもう一度確認してもらうための資料で、法務統括官や上司らと5月21日に市長応接室で説明した」と話した。
※2026年7月11日付919号27面から

















