【竜があしらわれた幕が目を引く本堂で鈴木住職=名張市滝之原で】

 2024年の干支は、十二支で想像上の生き物「竜」が充てられている「辰」。三重県伊賀地域にある「竜」や「龍」を名に冠した社寺の中で、今回は名張市滝之原の龍性院を訪ね、鈴木隆雄住職(59)に寺院の歴史や来る年への思いなどを聞いた。

龍性院のコウヨウザン

 寺伝よると、室町時代の創建と伝わり、元は「龍泉寺」と呼ばれていたが、同じ読みの滝仙寺(伊賀市瀧)との混同を避けるため、寺号でなく院号の「龍性院」を用いるようになった。境内にある高さ30メートルを超すコウヨウザン(広葉杉)の大木は、滝仙寺、常福寺(伊賀市古郡)のものと合わせ「伊賀の三大広葉杉」と呼ばれる。

 平安時代の作とされる本尊の木造薬師如来坐像は、江戸時代に当地へ移されたもので、現在は名張市の指定文化財。本堂は火災で焼失した後、江戸時代後期に再建され、堂内にある十二神将の頭上には12種類の干支がかたどられている。

 本堂には、竜の幕が寺紋を挟んで左右に掲げられている。新年は自身が年男でもある鈴木住職は「個人個人の幸せはもとより、世界が少しでも平和になってくれたら。紛争や感染症など、先行きが分からないことも多いが、祈りを捧げることで収束を願いたい」と語った。

 年越しは境内でかがり火がたかれ、年越え参りや初詣の参拝者を迎える他、12月31日午後7時から1月2日午後9時まで、近所に工房を構える竹明かり作家のグループ「竹雀」が、龍性院と東隣の八幡神社を彩る。

2023年12月23日付858号10面から

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