【近大高専の学生寮「百合が丘寮」として使われている施設の外観(名張市提供)】

市は近大に無償譲渡の方針

 三重県名張市は5月15日、田辺三菱製薬(本社・大阪市)から借り上げて近畿大学工業高等専門学校(名張市春日丘7)の学生寮として同大学に有償で貸与してきた施設(同市百合が丘西6)について、土地と建物を計2円で同社から買い取ると発表した。買い取った後は、同大学に無償で譲渡する方針。

 この日の市議会総務企画委員会協議会で市が説明した。

 市によると、2009年に皇學館大学社会福祉学部の撤退意向を受け、市は跡地に熊野市にあった同高専を誘致。11年に移転、開学した。

 開学後、市は田辺三菱製薬の名張第1研修所(土地約1万平方メートル、鉄筋コンクリート造4階建て、1988年竣工)を年間800万円で借り上げ、通学が困難な学生らのための寮「百合が丘寮」として年間521万円で有償貸与。施設の一部は市の防災倉庫としても使っていた。

 同社から、施設の土地と建物を各1円で売却すると市に提案があり、市は買い取って近畿大に無償譲渡することにした。防災倉庫の物品は市役所隣の既存の倉庫に移すという。

 同社の広報担当者は取材に「本業ではない不動産賃貸を長期にわたって継続することを考えた結果、売却した方が良いと判断した。名張市と交渉し、売却金額を決めた」と話した。

 市は6月議会で施設を2円で買い取るための予算案を提出する方針。可決されれば登記を変更し、9月議会で近畿大への無償譲渡案を提出する予定。

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