【稽古に励む寛七郎さん(右)と北川さん】

 日本舞踊・花柳流の舞踊会「寛桜会」が11月25日午後1時から三重県伊賀市大谷の前田教育会館蕉門ホールで開かれる。伊賀地域では観覧の機会が少ない日本舞踊を身近に感じてもらおうと、同市朝屋で教室を開く日本舞踊花柳流師範、花柳琴まりさん、寛七郎さん親子が、教室生らとともに舞台に上がる。

 約2年ぶりの公演となる今回は、第1部が三味線の演奏で踊る長唄「松の緑」や小学生6人による童謡「さくらさくら」など、第2部が長唄「藤娘」「連獅子」などで、寛七郎さんと師匠の花柳寛十郎さんによる常磐津「子宝三番叟」で締めくくる。

 東京で暮らしていた20歳のころに花柳流の名取になり、今回55年ぶりに「花柳伊楓」として出演する名張市の北川知子さん(76)は「心身の健康のために」と昨年から稽古に通っている。「忘れてしまったことも多いけれど、根っから踊りが好き。喜寿の祝いに先生が選んでくれた」という第2部の幕開け「娘道成寺」で舞台に上がる。

 寛七郎さんは今年1月、大阪松竹座100周年を記念した「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演『幽玄』」に出演。「羽衣」では玉三郎さんと初共演し、能の代表演目「石橋」を基にした舞台では、花柳流の家元を含む3人の獅子の一人として約1か月間駆け抜けた。

 「舞踊人生で最高の舞台。この達成感は何物にも代えがたい」と感慨深げに振り返った寛七郎さんは「自分自身にも弟子たちにもさまざまな変化があった中で、楽しみにしてくれる皆さんのためにも、晴れ晴れとした舞台にしたい」と来場を呼び掛けていた。

 舞踊会は入場無料、申し込み不要。

 問い合わせは花柳さん(0595・21・8135)まで。

2023年10月28日付854号21面から

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