【贈呈された感謝状を手にする(右から)垣見さん、後藤さん、橋本さん、北川さん=名張市鴻之台1で】

 三重県の名張市消防本部は11月11日、市内で発生した火災で119番通報やバケツリレーでの初期消火を行い、被害を最小限にとどめたとして住民4人に感謝状を贈った。贈呈式は、この日の消防フェスティバルの中であった。

 感謝状を受け取ったのは、元水道局職員の垣見修さん(79)、いずれも看護師の後藤陽子さん(47)と橋本真叶さん(23)、中学3年の北川宗吾さん(15)の4人。垣見さんと後藤さんは親子。

 市消防本部などによると、火災は9月5日午後7時ごろ、同市桔梗が丘南の民家の倉庫前にあった電気式魚焼きグリル付近から出火。グリルや倉庫壁面の一部などが燃えたが、けが人はなかった。

 火事に気付いた垣見さんと後藤さんが、周辺住民に協力を呼び掛け、橋本さんが119番通報。北川さんが自宅の水道のホースで複数のバケツに繰り返し水を入れ、後藤さん、垣見さんへとリレー。初期消火に成功した。

「焚き火かも」と思ったが…

 後藤さんは実家に向かう途中、橋本さんは帰宅途中にそれぞれ現場近くを通りかかって小さな火を目撃。「何かを燃やしているのかも」「焚き火かも」と思い一度は通り過ぎたが、心配になって間もなく引き返したところ、火は2メートルほどの高さになっていた。後藤さんから話を聞いて一緒に現場に駆け付け、最前線で水をかけた垣見さんは「割れた窓から炎が建物の中に入っていくギリギリのタイミングで水を掛けることができた。少し遅れていたら天井に燃え広がっていた」と振り返る。

 感謝状を受け取った後藤さんは「一人では何もできなかった。顔を知らない地域の人たちと協力できたことがすばらしいと思う」、橋本さんは「見過ごしてしまったら大変だった。被害が大きくならなくてよかった」と話した。

 塾から帰宅時に火に気付いたという北川さんは「家の人を呼びに行ったが出てこなかった。その後、3人と出会って必死に水を汲んだ。今後は、火事に遭遇したら自分もすぐに通報できるようにしたい」と話した。

 八村知成消防長は「『誰かがやってくれるだろう』と流されることなく身をもって初期消火を行って頂いたことで、火災が広がることなくおさまった。大変勇敢な行動だった」と4人をたたえた。

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