【制作したゲームを紹介する大久保さん=名張市蔵持町原出で】
この春、三重県名張市立桔梗が丘中学校を卒業し、英心高校桔梗が丘校に進んだ大久保朱莉さん(16)が、助け合いをテーマにしたオリジナルゲーム「人と助け合ってなんとかなる」を制作した。敵を倒さず避けて進む、非攻撃型の内容が特徴で、災害時の地域のつながりの大切さを描いている。
舞台は名張。プレーヤーは主人公となり、市のシティプロモーションから昨年生まれたヒーロー「なんとかなるなるマン」とともに、断水時の水の運搬や停電時の修理キットの配送、迷子の捜索といった課題に挑む。市内で出没する鹿やイノシシ、猿も登場するが、攻撃して倒すことはなく、うまく避けながら先へ進む。「倒すのではなく、助けたり避けたりする内容にしたかった。ゲームを作るのは本当に楽しい」と話す。
制作の背景には、身近に経験した出来事がある。大久保さんが住む地域では近年、断水や停電が発生。夏場に長時間の停電が続いた際には、母が友人宅にポータブル電源を届けたこともあった。「一人では難しくても、助け合えば乗り越えられる」との実感が作品のテーマになった。
小6時、自身の病や障害を絵本に
大久保さんは1歳の時に右脳萎縮と左半身まひが判明し、1歳半で指定難病「中枢性尿崩症」と診断された。日常的に多くの水分補給が欠かせず、「水は大事なもの」と語る。
小学6年からプログラミングに触れ、中学ではコンピュータ部で活動。今回のゲーム制作は昨秋から構想を練り、卒業後の3月中旬から着手し、約2週間で完成させた。
制作にはプログラミングソフト「スクラッチ」を使用。キャラクターのドット絵化などにAI(人工知能)を活用しながらも、仕様設計や実装、不具合の修正などは自ら試行錯誤した。

キーボード操作は右手だけで行うため、ゲームもシンプルな操作性とした。小学校卒業時には、自身の病気や障害特性をテーマにした絵本「あたまの中のとしょかん」を出版しており、今回も節目に合わせて自己表現に取り組んだ。
今後は、プレーヤーの選択によって物語の結末が変わるゲーム制作にも意欲を見せる。動画制作にも取り組む予定で、自身の体や障害のある人が何に困っているかなどを発信するという。「多くの人に知ってもらい、友だちを増やしたい」と笑顔を見せた。
大久保さんが制作したゲームは、「スクラッチ」のサイト内(https://scratch.mit.edu/projects/1297374451)で公開されており、パソコンやスマートフォンなどで楽しむことができる。
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