【不適切な盛土の現場(県提供)】
三重県は7月14日、名張市安部田の私有地にある崩落の恐れがある不適切な盛土について、盛土規制法に基づく行政代執行を21日に開始すると発表した。同法による行政代執行は県内初。工事費は約2億7700万円を見込み、県は土地所有法人などに請求する方針だが、費用回収は不透明だ。
県防災砂防課によると、現場は奈良県境近くの山間部。同県内の男性が1995年から96年ごろと2019年から21年ごろの2回、県の許可を受けず約1万7900立方メートルの土砂を搬入し造成したという。
21年の静岡県熱海市の土石流災害を受けた「盛土総点検」で、三重県は名張市安部田の不適切な盛土を確認。24年7月には一部が崩落した。崩落は最大で高さ約27・2メートル、面積約4400平方メートルに及び、土砂は渓流に堆積した。県は男性に対し同年8月から25年5月までの間、文書2回、口頭17回にわたり災害防止措置の実施を指導したが改善されなかった。
男性は同年6月に死亡し、相続人は相続を放棄。県は下流域の人家5戸や緊急輸送道路の国道165号に被害が及ぶ恐れがあるとして、土地所有法人(大阪市)への改善命令を出したが、法人が事実上活動しておらず、履行されなかった。このため、県は行政代執行を決定した。
工事では約1万9800立方メートルの土砂を撤去する他、排水施設や植生工などを整備する。今年度中の完了予定で、回収できなかった費用は国庫補助分を除き県が負担する可能性もある。

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