【自宅前で出来上がった絵本を手にする山本さん家族=伊賀市西湯舟で】

山本さんが絵を担当 豊かな表情

 「今しか見られない園児たちの等身大の日常を形に残したい」。三重県伊賀市立たまたき保育所(玉瀧)の保護者らが中心となって作ったオリジナル絵本がこのほど完成した。絵を担当したのは、似顔絵作家として活動した経験のある同市西湯舟の山本真希さん(39)で、卒園児1人を含む園児11人が豊かな表情で躍動している。

山本さんが描いた絵本の一場面

 同市出身の山本さんは、成安造形大(滋賀県)でイラストレーションを学び、京都市内の出版社で10年ほど、ウェディングアイテムや祝いの品などに似顔絵を描く仕事をしていた。結婚後は夫の太郎さん(41)と奈良市月ヶ瀬地区で暮らし、2024年末に実家から程近い現在地へ移住。現在は長女あうわちゃん(4)が同保育所に通い、昨春には次女の珠千ちゃん(0)も誕生した。

園児に聞き構想練る

 同保育所の園児数は近年、利用定員(40人)を下回る状況が続き、統合も話し合われてきた。保護者会(育友会)では、自然環境の豊かさや少人数ならではのアットホームさを生かし、行事などを企画運営している。絵本作りの話は昨年末ごろ持ち上がったといい、山本さんは保育士や保護者らに協力を依頼。各園児が好きな遊びやおもちゃなどの情報を集め、自身も実際に保育所で園児たちに聞き取りをしたり、様子をスケッチするなどして構想を練った。

絵を上映して読み聞かせをする山本さん(提供写真)

 2月末の行事で披露すべく、2月初旬から週3日ほど、両親の協力も得て実家で作画に集中する時間を取った。「どんな表情がその子らしいか、皆が漏れなく登場しているかなど、考え過ぎて眠れない日もあった」という。A4サイズに鉛筆と水彩絵の具で描いた絵は、朝のあいさつ、おもちゃの取り合い、園庭遊び、昼食、迎えの時間など9枚で、場面ごとに楽しい会話が添えられている。

 最後のページは、家に帰り、一日を振り返る場面だ。「きょうもたくさんあそんだよ」「あしたもたのしみだな」。何気ないけれど、日々の幸せをかみ締める、子どもと家族の穏やかな表情。「登場するおもちゃの色や先生の様子などは娘にも聞き、できるだけ実際に近付けて描くようにした。日常を描きつつ、子どもたちの未来がこうあってほしい、世界がこうなってほしい、という思いも込めた」。

日常描き「未来」思う

 絵本はA4サイズとコンパクトサイズの2種類を作成し、希望者が購入した。11人の名前の字を混ぜ込んだ巻頭の詩は中林由香さん(41)が担当。2月の行事では絵をスクリーンに映して山本さんが読み聞かせし、家族らから「家では見せない表情が描かれていて新鮮」「一人ひとりの個性が描かれていてうれしい」と好評を博した。

 「本当は保護者それぞれの話もじっくり聞いて描きたかった」。限られた時間の中、描きながら感情があふれ出てしまう場面もしばしばあった。「最近は当たり前のことが当たり前と思えなくなってきている。子どもたちも私たちも、これからの自分の人生を全うしていける、かけがえのない幸せな姿を描くことができて良かった」と笑顔で語った。

- 広告 -