【財政難により老朽化設備の修理ができず、営業休止が続いたまま草が生い茂る名張市民プール=同市夏見で】
4月5日告示、12日投開票
任期満了に伴う三重県名張市長選と市議選は、4月5日告示、12日投開票の日程で行われる。3月23日現在、市長選に立候補を表明しているのは、再選を目指す無所属現職の北川裕之氏(67)=1期目=のみで、1982年以来44年ぶりの無投票となる公算が大きい。市議選は同日現在、定数18に対し22陣営が立候補の準備を進めている。
市長選は対立候補不在の可能性がある中、市政課題への対応が改めて問われる。
中学校給食
大きな課題の一つが、県内市町で唯一未実施となっている中学校給食だ。2022年の前回選挙で早期実現が公約で掲げられ、27年度の開始を目指していた。ところが財政悪化を背景に昨年5月、事業着手の延期が決まった。
北川市長は今年2月、市議会で「2029年9月開始」とする新たな目標を示した。青蓮寺地区の市有地にPFI方式で給食センターを整備し、小学校の調理も段階的に集約する方針で、経費抑制を図るとしている。
一方、開始時期の見直しに対し、保護者の間には戸惑いも広がる。市内の保護者からは「毎日の弁当づくりは本当に負担が大きい。できるだけ早く始めてほしい」といった声が上がっている。

産めないまち
出産を巡る環境の確保も切実な課題だ。市内唯一だった分娩施設が昨年1月に取り扱いを終了して以降、市内で出産可能な医療機関が無い状態が続く。市は伊賀市内の医療機関への支援など広域対応を進めているが、名張市内での体制確保には至っていない。子育て世代からは「通院や出産の移動負担が大きい」「いざという時に不安」といった声も聞かれる。
財政面では、24年11月に公表された中期財政計画で、従来の財政運営を続けた場合は28年度に累積赤字が約51億円に達し、北海道夕張市に続く「財政再生団体」に転落する可能性が示された。市はその後、29事業の廃止や縮小などの行財政改革を進め、地区と福祉センターを結ぶバスの廃止や市役所の窓口対応時間の短縮などを実施。その結果、昨年11月時点では28年度の赤字見込みが約10億円まで圧縮される見通しとなった。
超過課税、実施検討?
ただ、30年度には扶助費や維持補修費の増加などで累積赤字が約30億円規模に膨らむ可能性があり、厳しい財政状況は続く。市議会は昨年12月、独自の超過課税の実施検討などを求める要望書を市に提出した。同市では、固定資産税の標準税率に0・3%を上乗せする超過課税「都市振興税」(当時、年間約8・5億円の税収)を16年度から23年度まで導入した経緯があり、財源確保の在り方も焦点となる。
給食、出産、財政。市民の暮らしに直結する課題に、どう道筋をつけていくのか。市長選が無投票の可能性がある中、市議会の構成を決める市議選の行方も、今後の市政の方向性を左右しそうだ。















