【音を立てながら田へ水を運ぶ水車と西居さん=伊賀市上林で】

 三重県伊賀市上林の国道422号沿いにある用水路で、初夏の風物詩として親しまれている手作り水車が今年も回り始めた。約700メートルにわたって9基並び、田んぼへ水を送り込んでいる。地元の農家4軒が管理しており、9月上旬まで稼働する予定という。〈YouTubeで動画(https://youtube.com/shorts/KbDbbNNxKC8)〉

 水車は約70年前、水路より高い位置にある田んぼへ水をくみ上げるために使われ始めた。当時は20基ほどが動いていたが、農家の減少や高齢化で徐々に数が減ったという。

 水車は直径約1・5メートル。鉄製の骨組みに長さ約90センチの木製羽根板8枚を取り付け、粉ミルクの空き缶などを利用して水をくみ上げる仕組みだ。水流を受けて回る水車は、じゃぶじゃぶと水を落とす音を響かせながら、田へ水を送り続けている。

 稼働当初から近くでコシヒカリを栽培し、現在は3基を管理する福森克己さん(85)は「15歳のころから祖母の代の水車を見てきた。川の流れだけで、電気も油も使わず動いてくれている」と目を細める。

 盆明けの稲刈り後もしばらくは水車を回し続ける。冬場には持ち帰って鉄製部分にペンキを塗り、傷んだ羽根板や缶を交換するなど補修を重ね、翌年の稼働に備えるという。

 高齢でリタイアした人から2基を引き継いで管理する西居義清さん(72)は「一つの文化。なくすわけにはいかない」と話す。

 福森さんは「今年もおいしい米の収穫が楽しみ。昔のままの姿の水車を、若い人が継いでくれたら」と思いを語った。

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