「伝えたい想い」の根本から　デザイナーの居附さん夫妻　伊賀

　約2年前に大阪から三重県伊賀市に移住し、夫妻でデザイン事務所を立ち上げた居附孝志さん（32）、未希さん（32）。同市川西の自宅を拠点に、「伝えたい想い」の根本からデザインを考えている。

　兵庫県出身の居附さんは高校卒業後、製造業を経て大阪の専門学校でイラストを専攻。その後、デザイン会社で飲食店のメニューやちらしなどの制作に携わった。未希さんは、名張高校卒業後に居附さんと同じ専門学校に進学。大阪の広告代理店で交通広告や旅行雑誌などを幅広く手掛けてきた。

　伊賀への移住はコロナ禍でのリモートワークがきっかけ。新しい仕事場として2022年7月に未希さんの実家隣に新築した自宅に移り、1年間の準備期間を経てデザイン事務所を立ち上げた。

　地域のイベントや店舗のパンフレット、ポスター、ロゴなどを幅広く制作。依頼者と対面で打ち合わせをするところからスタートし、2人で相談しながら作業を進めていく。イラストは居附さん、レイアウトは未希さんが担当することが多いという。

　作業中、2人の意見が分かれることもあるそうだが、考え方も得意分野も違う双方の視点から物事を捉えることで、より良いデザインが生み出せるそう。「『どうすれば目的が果たせるのか』を依頼者と一緒に考え、良い結果が出た時は自分のことのようにうれしい」と未希さん。

　伊賀地域では人とのつながりから仕事が広がる場合が多いそうで、大阪在住時と比べ、日常生活に溶け込んだ人との付き合いが増えたという。

　居附さんは「デザインにおいて表面的なグラフィックの部分はもちろん大切だが、一番は依頼者の『伝えたい想い』」と話し、「今後はデザイナー的な考え方で課題を解決する方法も伝えていければ」とほほ笑んだ。