【ドバットを囲み優勝を喜ぶ浦地社長(右端)ら=伊賀市荒木で】

技能実習生の行動契機にロボ開発

 全国にある町工場が技術や発想力を生かし、“笑える一品”を作って競う大会「くだらないものグランプリ」で、三重県伊賀市荒木のプラスチック製品製造会社「デイ・プラフト」が初出場で初優勝を飾った。ワンプッシュで一味唐辛子の小瓶1本半分を出せるロボット「ドバット」を開発し、高い評価を得た。

一味唐辛子が「ドバッ」と落ちる瞬間を見守る技能実習生の2人=同

 同社は平成から令和に改元した2019年5月1日創業で「令和最初の町工場」を称する。樹脂を切削加工し、精密な工業用部品を受注生産する事業を主に手掛けている。従業員は9人と少数精鋭だ。

 同大会は20年に始まり、4回目の今年は愛知県蒲郡市の竹島水族館を会場に開催。参加21社のプレゼンテーションをネット配信し、視聴者からの投票で順位が決まった。

 同社は同大会のファンだった浦地泰佑社長(43)の強い希望で今春、出場を申し込んだ。「出るなら優勝を」との決意で臨んだものの、納得できるアイデアがなかなか定まらなかったという。

 そんななか、6月にインドネシアから技能実習生のシティ・アニマーさん(23)とリマ・ヌル・ヒクマーさん(22)がやってきた。辛い味付けの料理に慣れた2人にとって、日本の料理は辛みが足りなかったようで、食事の際に一味の小瓶を必死に振って食べ物を真っ赤に染め、周囲の社員たちを驚かせた。浦地社長は「これを作ろう」と決心した。

 完成したドバットは白いアザラシのキャラクターが印象的な見た目で、高さ50センチ、幅45センチ、奥行き60センチ。唐辛子をかけたい食べ物をセットし上のボタンを押すと、一味の小瓶を350回振った量が一気に落ちる仕組みだ。

 制作は通常の業務の合間に行い、約1か月を費やした。設計から塗装まで全て自社で行うのは初めての試みだったという。

 事前のPR動画は、浦地社長の友人の協力で手の込んだものを制作。アニマーさんがインドネシア語でナレーションを読み上げ、緊迫感ある映画予告風の作品に仕上げた。

 10月14日にあった本番では、参加企業がプレゼンテーションを繰り広げる中、同社は「くだらない保育園」をテーマにアピール。浦地社長を始め社員が園児や保育士の衣装を身に着け、笑いを交えた寸劇を披露した。

 結果、最多得票を獲得。参加企業間で優秀作品を選ぶ「仲間が認めたde賞」にも選ばれ、ダブル受賞の快挙となった。

 浦地社長は「本当にうれしい。ゼロから作るのは初めてで、勉強になった。大会に出て社員の結束も更に高まった」と喜びを語った。当日の様子や事前PR動画は、大会のユーチューブチャンネル(https://www.youtube.com/@user-cm2li7vy5i)で公開されている。

2023年11月11日付855号5面から

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