【開所した「近大高専起業家工房」の室内=名張市春日丘7で】

 三重県名張市の近畿大学工業高等専門学校(春日丘7)の高専会館内に11月10日、インキュベーション(起業支援)施設「近大高専起業家工房」が開所した。開所式には行政や地域の関係者ら約30人が出席し、若者の夢を後押しする新たな拠点の完成を祝った。

施設入り口前で行われたテープカット=同

 施設は広さ約70平方メートルで、打合せスペースが12席、工作スペースが10席。3Dレーザスキャニングシステム▼モーショントラッキングシステム▼3Dモデリングマシン▼UVプリンタ▼3Dプリンタ▼3Dスキャナ▼レーザー加工機▼カッティングプロッタなど、ものづくりの試作に活用できるさまざまな機器を備えている。

 同高専には機械システムコースの学生らが主に使う「近大高専ものづくり工房」(2015年開所)があるが、文部科学省の「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」の補助金(補助率100%)を活用し、高専会館の多目的室だった場所を約9000万円かけて全学生が使える施設として新たに整備した。

 起業家工房は、授業や実験、卒業研究、技術系の部活動、自主的なものづくりの場として学生が利用する他、卒業生も利用できる。地域の企業の関係者とのミーティングスペースとしても活用される。

 開所式であいさつした同高専の齊藤公博校長は「起業に向けたものづくりを実際に行うスペース。仮想空間・3Dの測定・試作用の最新機器を導入した。地域連携を考慮した学生の起業家精神の育成を目指す」と述べ、北川裕之市長は「地域の起業とコラボして頂き、市の活性化につながれば」と期待した。

 テープカットに代表学生として参加した電子電機コース4年の生悦住怜花さん(18)は「今までできなかったことができるようになるので、卒業までに一通り使ってみたい。UVプリンタが特に面白そう」と話した。

3Dレーザスキャニングシステム=同
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