【平和を願い被弾ピアノで演奏を披露する河野さん=名張市蔵持町里で】

 ロシアによるウクライナ侵攻の開始から、2月24日で丸1年が経った。開始直後から自宅や全国各地で弾き語りのライブ配信を毎日続けている京都市西京区のジャズピアニスト、河野康弘さん(69)が同日、三重県名張市を訪れ、市武道交流館いきいき(同市蔵持町里)にある、第二次世界大戦時に被弾したピアノで演奏を披露した。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/kOxojoOw20E)〉

機銃掃射の銃弾でえぐられたピアノの右側面=同

 奈良県出身の河野さんは高校卒業後にピアノを始め、矢沢永吉さんのバンドでキーボードを務めるなどした後、ジャズピアニストとして本格的に活動。1991年の湾岸戦争を機に、平和や環境をテーマとしたコンサートを始めた。国内外へ活動の場を広げる中、昨年2月にウクライナへの侵攻が始まった直後から、動画投稿サイト「ユーチューブ」で演奏をライブ配信している。

 被弾ピアノは、1937年に地元有志が蔵持国民学校(現・蔵持小)へ寄贈したもので、45年6月に米軍の機銃掃射を受け、側面が損傷。一時は使用されず小学校に眠っていたが、地元の専門家による修理を経て、現在は同交流館の玄関付近に展示されている。河野さんは、二十数年前にも被弾ピアノを弾いたことがあるという。

 この日は午前11時30分から約1時間、ジャズアレンジした童謡の「チューリップ」や「ふるさと」、ビートルズの「イエスタデイ」など計10曲を演奏。折々に「皆が違いを認め合えば戦争は起こらない」「文化が子どもたちへ当たり前に届けば文化が育っていく」などのメッセージも織り交ぜながら語った。

 河野さんは「戦前からあるピアノで、温かみのある音。久しぶりに弾けて良かった。平和は一人ひとりの心の中にあり、望めば状況を変えていけることをこうして少しでも届けていけたら」と話した。

 過去の配信は河野さんのユーチューブチャンネル(@YasuhiroKono)で視聴できる。

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