【ロボットの出来を確かめる久貝特任教授(右)と部員たち】

 「魅せる」ロボットで、いざ17年ぶりの全国へ―。11月26日に両国国技館(東京)で開かれる「アイデア対決全国高専ロボットコンテスト2023」に、三重県名張市春日丘7の近畿大学工業高等専門学校が出場する。ロボット技術部の部員たちは、全国大会のレギュレーションに沿ってロボットを調整し、最良の結果を出せるよう準備を続けている。

名張市役所を表敬訪問した部員たち=同市鴻之台1で

 同部は久貝克弥特任教授と長谷川尚哉特任准教授の指導のもと、車体のデザインや材料加工、プログラミングなど、高専ロボコンや各種大会に向けて日々熱心に活動している。2006年は近畿予選で技術賞を獲得して全国に進み、ベスト4に入ってデザイン賞にも輝いた。

 今年のテーマは、エリア内に設定された角材を乗り越え、つるされたフルーツを収穫する「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」。60センチ四方・高さ60センチ、重さ30キロ以内という制限の範囲内で、確実に段差を乗り越える足回りや、不安定に揺れるフルーツをつかんだり落としたりする機構に、各チームが工夫を凝らしている。

 9月の近畿予選には、同高専から2チームが出場。伸縮するアームを首に見立てたキリン型ロボット「モギー」で挑んだ、仲谷忠洋さん、田中健太さん、坂東新太さんの5年生3人によるBチームがデザイン賞を獲得し、審査員推薦で全国切符をつかんだ。名張特産のブドウから発想を得た、手のように自然な動きでもぎ取る機構や、キリンの可愛らしさが好評価を得たという。

「最高の結果出したい」

 部長の辰巳勝寛さん(3年)は「全国大会が決まり、いい意味でプレッシャーがかかった」、Bチームリーダーの仲谷さんは「困った時に助けてもらった先生方のためにも、頑張って良い結果を残したい」と語っていた。

 角材を乗り越えるために必要な土台作りに時間を要したが、「早くできて丈夫な、最小サイズを目指そう」と決め、コンパクトで軽量化したロボットを仕上げてきた。06年の全国大会出場のころを知る久貝特任教授は「ロボコンをよく知る5年生トリオが集中して作り上げた。全国に向けても、自分たちの強みを最大限見せる工夫を続けてほしい」と話す。

 その久貝特任教授いわく、「技術は引き継げても、ノウハウの伝承は簡単ではない」という。回路、プログラム、車体、それぞれに皆が自分の思い入れや技術を詰め込んで作り上げるロボットには、不思議と温かみや人間味も宿る。発想力や独創力を競う高専ロボコンならではの面白さと難しさが垣間見える。

 今年3月、部員たちは全国大会の常連・神戸高専のロボット工学研究会と技術交流を実施し、強い刺激を受けたという。長谷川特任准教授は「近年は全国大会出場を目標に活動し、『頑張れば全国へ行ける』ことを実感できた。強豪校が顔をそろえる大会のピリピリした空気も感じてきてほしい」と期待を込めて話した。

 全国大会には地区大会の優勝8チームに推薦を含めた計26チームが出場。今年は近大、鈴鹿、鳥羽商船の県内3校がそろう。

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