3月21日の「世界ダウン症の日」を啓発するポスターモデルに、このほど名張市つつじが丘北2の澤田仁美さん(33)が起用された。12日には撮影時の着物を身にまとい、両親と3人で同市の亀井利克市長を表敬訪問した。【市長に報告する澤田さん(左から2人目)と両親(右2人)=名張市鴻之台で】

 ダウン症の人の多くは21番目の染色体が3本あることから、国際連合は2012年から毎年3月21日を「世界ダウン症の日」と制定。理解を深めてもらおうと、世界各国で啓発イベントが開かれている。

 制定の翌年から、日本ダウン症協会(東京都)がダウン症の人をモデルに毎年テーマを決めてポスターを作成。今年は「地域で活躍」がテーマで、募集を見た母親の博子さん(69)が、澤田さんの茶道へ取り組みなどを挙げて応募したところ、採用された。【澤田さんがモデルとなったポスター(市提供写真)】

 名張育成会が運営する「CAFE&GALLARYほっぷ」(同市新田)で週4日、クッキー作りや接客などをして働く澤田さん。特別支援学級に通っていた小学5年頃、クラブ活動で茶道と出会い、中学1年から近所の裏千家流准教授・高島宗美さんに弟子入り。毎月3回の稽古を休むことなく続け、06年に「宗仁」の茶名、11年に准教授の資格を取得した。

 ポスターの撮影は昨年末に高島さんの自宅茶室であり、同協会関係者やカメラマンなどが来訪。入念な予行練習の甲斐あって、カメラの前でも堂々と茶を点てて見せた。

 慣れない撮影を終えた日の夜、澤田さんは自宅の台所でひとり号泣したという。博子さんは「期待に応えようと、力の限り頑張ったのだと思う」と振り返る。

 今年2月、澤田さんたちが招かれた同協会のイベントで、ポスターが披露。初めて目にした時の様子は、「今までに見たことの無い笑顔だった」と博子さん。ほほ笑む澤田さんの姿に「あなたの一歩も私の一歩もおんなじくらい大変でおんなじくらい面白い。」の標語が添えられたポスターは、1万800部を印刷。日本全国の公共施設や医療施設などに掲示される。

 亀井市長は「名張の方が選ばれ、大変名誉なこと。市役所内や市内の公共施設にも掲示したい」と話した。