【見頃を迎えた「花垣の八重桜」=伊賀市予野で】

 三重県伊賀市予野の八重桜公園で4月21日、古くから親しまれてきた「花垣の八重桜」の後継樹を前に、観桜会が開かれた。

 予野八重桜保存会の主催。花垣の八重桜は一つの花に雌しべが2本ある珍しい特徴があり、奈良時代に朝廷に献上されたと伝わる。桜を守るための「花守」を朝廷が派遣したとされ、現在も花守の子孫が地元に住んでいるという。伊賀出身の俳聖・松尾芭蕉は1690年、「一里は みな花守の 子孫かや」と詠み、公園隣の花垣神社の境内には句碑が残っている。

 県の天然記念物に指定されていた「3代目」が老化で枯れ、現在の木はその遺伝子を受け継ぎ2006年に植えられた「4代目」。今年は16日ごろから淡いピンク色の花が咲き始め、4月末まで楽しめるという。また、20年の公園整備で他品種の桜も植えられ、先月に追加で植えた11種類と合わせ、計26種類の桜が楽しめる。

 この日は、地元住民ら約300人が来場し、岡本栄市長や地元のご当地キャラ「いが☆グリオ」らが出席。飲食のキッチンカーや2人組の音楽ユニット「ケール」による演奏もあった。

 保存会の森中祐作会長(70)は「桜の種類も増え、県内でも有数の桜のスポットになってきたと思う。歴史ある観桜会が将来につながっていければ」と話していた。

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