リスク避け、検診を

東京医保大・小西教授に聞く

 がん予防には、生活習慣改善などによる「一次予防」、検診などで早期発見、早期治療をする「二次予防」があると言われている。今回は、がん予防の最新情報などについて、自らもがんサバイバーである東京医療保健大学副学長の小西敏郎教授=写真=に聞いた。

 ―小西教授は長年、外科医として胃がんや食道がんの診療に従事され、その間に胃がんと前立腺がんにかかられました。現在は栄養医療学科で教えておられます。そうした経験を基に、がん予防についてお聞かせください

小西教授 私は若いころから減塩に努め、肉も牛肉を避けるなどしてきました。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染もありませんでした。でも、胃がんになりました。前立腺がんにもなりました。私の経験からも言えるように、食事によってがんを予防することは難しいのです。食品についてさまざまな情報があるようですが、〝がんを完全に防ぐ〟食品はありません。しかし、発がんに関わるリスク要因は、「世界がん研究基金」といった団体などが発表を続けていますので、予防につながるかもしれません。

 ―「一次予防」ですね。そのリスク要因について具体的に教えてください

小西教授 この基金のデータを基にお話しします。胃がんはピロリ菌、食塩、喫煙、飲酒。「食塩・塩蔵食品」はおそらく胃がんの原因の一つというのが世界レベルの評価結論です。食道がんは、喫煙、熱いもの、飲酒。特にお酒を飲むと顔が赤くなる「フラッシャー」と言われる人は、アセトアルデヒドが体内に増えてリスクが高まります。フラッシャーで喫煙習慣がある人はリスクが更に高くなります。
 膀ぼうこう胱がんは喫煙。大腸がんは、加工肉、飲酒。すい臓がんは体脂肪。肝がんは過食、運動不足、飲酒。前立腺がんは肉食。子宮がんは体脂肪、糖負荷。乳がんは閉経後の体脂肪増加です。

 ―先ほど「がんを防ぐ食品はない」と言われましたが、リスクを抑えるという観点ではどうでしょうか

小西教授 野菜や果物が胃がんや食道がんのリスクを抑える、と言われています。リスクについてですが、「あれも駄目」「これも駄目」ではつまらない食生活になります。さまざまな食材をバランス良く取るようにしてください。また、毎日15分程度の軽い運動も予防効果があります。

 ―「二次予防」の検診についてお聞かせください

小西教授 私は2種類のがんを経験しましたが、いずれも早期でした。自分自身、胃がんの執刀をしていましたから、取れば完治すると分かりました。これらのがんは、毎年検診を受けていたからこそ見つけられたのです。ですから私は、がんはとにかく早期に発見し治療する「先制医療」が大切だと考えています。

 ― 一次予防の努力をしながら、しっかり二次予防をするということですね

小西教授 私のように2つ以上のがんにかかる人が増えてきました。1つのがんを治したからそれで終わり、ということもないのです。よく「毎月病院に行っているから安心」という人がいます。しかし、医師でも専門外のことは詳しくは分からないものです。だからこそ、自分できちんと検診を受けてほしいと思います。

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小西敏郎教授 1947年、石川県生まれ。東京大学医学部卒。
NTT東日本関東病院で副院長・外科部長を務め、消化器系がん治療の執刀2500件以上。現在は東京医療保健大学副学長・医療栄養学科長、キャンサーネットジャパン理事

伊賀タウン情報YOU 2018年5月前半(723)号」より