患者専用のコミュニティー「イルイル」

▲「イルイル」を説明する高橋さん(左)と三澤さん=東京都で

 がん治療中の女性が悩みを共有できる—。今年3月、ドコモ・ヘルスケア株式会社(東京都渋谷区)が無料で提供を開始した患者専用のQ&Aコミュニティーサイト「イルイル」が好評だ。
サイトは、乳がんなど5つのコミュニティーに分かれ、利用者らは匿名で悩みを相談し合える。利用者数は月間約3万人。今後、順次コミュニティーを追加する予定だ。
 「家族が病気だった時、生活面での苦労をどう克服するかなど、同じ病気の人の声をインターネットで探したがなかなか見つからなかった。そんなポータルサイトがあれば、と考えたのがきっかけです」と話すのは、サイト発案者の高橋千加さん(41)だ。
 患者が日常生活の悩みや体験を話し、情報交換ができるネットサービスを社内で提案。高橋さんに共感した三澤夏美さん(40)らとともに、ウェブサイトと、スマートフォンやタブレット向けアプリの開発に着手した。
 開発にあたっては、乳がん患者などへのインタビューを実施。「悩みを話したいが、患者会へは参加しにくい」「近くに相談できる所がない」「体調が悪いときでも出掛けずに話ができる場がほしい」などの意見が上がったという。医療関係者や患者支援団体などへの聞き取りも重ね、サイトには、患者の質問に同じ病気の人が応える「お悩み相談(Q&A)」の他、治療日記、病気の基礎情報コンテンツといった機能を用意した。
 また、サービスを安全に利用してもらえるよう、投稿内容を全て目視で監視、通報機能を設置し不適切な情報があった場合は速やかに削除、病気の基礎情報については専門医監修の上、配信するといった対策をとった。

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気兼ねなく相談できる場

 サービス開始以来、利用者は増え続け、月約3万人の利用者のうち、乳がんのコミュニティー利用者は、約1万人で、書き込み数は1千件から2千件。Q&Aでは、短い質問に対し長文での回答が多く、やり取りの中には「悩みに共感してもらえて心強かった」などの書き込みがあったという。他にも、「日記を始めてストレスが軽減された」「イルイルは心の疲れが取れる場所」などの感想が寄せられている。
 高橋さんは「イルイルは、英語のill(病気の)に『同じ境遇の人たちはイル』という意味を重ねたものです」と名前の由来を話し、「同じ病気の仲間に気兼ねなく相談できる場です。ぜひ、利用してください」と呼び掛けていた。

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【利用方法】

 パソコンの場合は https://iluilu.com/ へアクセス。スマートフォン・タブレットの場合は、「GooglePlay」「AppStore」でアプリをダウンロードする。
 サイトは誰でも閲覧できるが、書き込みは会員登録者(登録無料)に限られている。

伊賀タウン情報YOU 2017年12月後半(714)号」より

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