Q.65歳の夫の乳房がおわんを伏せたように赤く腫れた(炎症性乳がん=3期)とのこと。大学病院で全摘手術後、今はタモキシフェン(抗がん剤)投与中です。他に良い治療法はあるでしょうか?(伊賀市、主婦、64歳)
女性同様の治療が妥当
A.乳がん患者全体の0・5から1%を占める男性の乳がん。まれながんですが、増加傾向にあります。乳がん治療のエキスパート、三重大学医学部附属病院乳腺外科教授の小川朋子さんに伺いました。
小川教授によると
男性の乳がんに対する化学療法は、化学療法の作用機序(薬が体に作用を及ぼす仕組み)や男女間でのがんの病態に大差がないことから、女性乳がんに準じた治療が妥当と考えられています。
厳密な意味での炎症性乳がんは「腫瘤を認めず、皮膚のびまん性発赤、浮腫、硬結を示す」とされており、腫瘤を認めるものは二次性の炎症性乳がんとして区別されています。原発性炎症性乳がんであれば、術前化学療法後、手術、放射線治療といった集学的治療が推奨されます。
この方の場合、炎症性乳がんといっても、原発性乳がんであった可能性は低く、手術がまず行われたのだと思います。術後病理検査の結果でタモキシフェンが選択されたのであれば、男性乳がんの術後ホルモン療法で推奨されている5年間のタモキシフェン投与が有用と思われます。
ただし、もし術後病理検査結果で3期の乳がんということであれば、女性乳がんに準じ化学療法や放射線治療も適応になる可能性があります。化学療法は副作用も大きいので、担当の先生に術後病理検査結果を十分確認し、適応があるかどうかを含め相談していただくことが重要と考えます。
小川先生、ありがとうございました。
名張市がん・難病相談室では、どのような相談も専門的な答えを主にし、皆さまに満足していただくようご一緒に考えますので、気軽にお出かけください。
(名張市がん・難病相談室専任相談員 広野光子)
【名張市がん・難病相談】相談は毎月第3土曜日(2010年4月は17日)の午後1時~同4時。名張市勤労者福祉会館1階の会議室で。0595-63-5515
「伊賀タウン情報YOU 2010年4月前半(529)号」より