【施設外観(一部加工)】
「住み慣れた家で自分らしく最期を」
三重県伊賀市下柘植の「訪問看護ステーションななおと」が5月11日、「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」としてグランドオープンする。医療と介護を一体的に提供し、在宅生活を支える地域密着型の福祉サービス施設で、市内では休止中の施設を除くと唯一となる。

看多機は「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」の4つの機能を組み合わせ、利用者の状態に応じて柔軟に支援する。要介護1以上が対象で、月定額制(宿泊・食費は別途)を採用し、利用回数の制限はない。24時間365日体制で対応し、通院や買い物の付き添いにも応じる。
運営は、訪問看護師の山本美佐子さん(52)と、元消防士の将久さん(53)夫妻が経営する株式会社ななおとが担う。山本さんは「住み慣れた家で最期まで、その人らしい生活ができるよう支えたい」と話す。
山本さんが訪問看護師を志した背景には、病院看護師時代に親族をみとった経験がある。亡くなる3日前、「ありがとう」と感謝の言葉を受け、「やれるだけのことはやった」と悔いのない最期を見届けた。その経験から「地域の人たちも最期までこの土地で過ごせる環境をつくりたい」と仕事を掛け持ちしながら訪問看護の経験を積み、2019年には名古屋市で訪問看護事業所を開業した。
事業を展開する傍ら、2024年3月に伊賀市でも訪問看護事業所を立ち上げ、最中に将久さんの祖母の恭子さん(当時95歳)を在宅でみとった。「在宅ケアをこの土地でも広げたい」との将久さんの希望もあり、看多機を新設する運びとなった。
山本さんは「これまで福祉の現場では、利用者の体調が急変すると救急搬送され、入院する流れが一般的だった」とした上で、「在宅医療が関わることで、自宅で最期を迎えることも可能になる。どこで人生の最期を過ごすか、選択肢を広げたい」と話す。
在宅ケアを選択した利用者が、家族の献身的な支えによって体調が徐々に改善し、その後1年半にわたり穏やかに過ごした例も見てきた。「こうした例に接した経験も原点の一つ」と振り返る。
オープンする看多機の定員は18人。宿泊は最大6人までで、短期預かりも可能だ。ケアマネジャーによる独自のプラン作成に加え、ヘルパーは医療ニーズが高い場合でも同事業所内の看護師らと連携し、訪問介護など柔軟に対応する。
約40平方メートルの居間では、足でペダルをこぐと玉が飛び出す「パチンコ」やパラスポーツ「ボッチャ」などの軽運動ができる。屋外には、椅子に座ったまま楽しめる家庭菜園用プランターも設置する予定。食事は選択できる日があり、利用者の生活リズムを尊重して時間割は設けない。
また、設置したセンサーで心拍数や呼吸数を把握する見守り機器を導入。職員の負担軽減と安全確保を図る。
9日と10日には、地域住民向けの内覧会を開く。将久さんは「西柘植地域まちづくり協議会の奥澤会長を始め、区長の皆さんに協力していただいた。地元の西野建築さんのとりまとめで、メイドイン伊賀の看多機ができた」と話す。山本さんは「地域の人が気軽に立ち寄れる場所にしたい。人生の最終章をどう過ごすか、一緒に考えられる場になれば」と語った。
問い合わせは同施設(0595・51・6270)まで。
















