【旧居にある濵邉さんの仕事部屋で作品を手にする松井さん=伊賀市上野愛宕町で】

 身近な静物や風景を数多く描き、旧上野市の文化事業に大きく貢献した画家・濵邉萬吉さん(1902‐98)の遺作展が、2月27日から3月5日まで開かれる。妻のめいで、月に1回は三重県伊賀市上野愛宕町の旧居を訪れ、整理や掃除などをしている松井都さん(67)=千葉県在住=は「多彩な作品を生み出し、地元に残してきたことを改めて知ってほしい」と願う。

濵邉萬吉さん(提供写真)

 現在の上野赤坂町に生まれ、1926年から上野愛宕町郵便局の初代局長を43年間務めた。洋画家の奥瀬英三氏に師事し、帝国美術院展(帝展)や文部省美術展などで入選を重ね、郵便局裏の自宅では、上野天神祭の鬼やだんじり、天狗の面や玩具、伊賀や志摩、月ヶ瀬の風景などを描くのがライフワークだった。

今も残るデザイン

 四方を山に囲まれたデザインの上野高校の校章、銀座通り入り口にある「いがうえの」のゲート、上野公園周辺にある松尾芭蕉の句碑など、濵邉さんのデザインは現在も伊賀のあちこちに残っている。旧居を整理する松井さんは、東京旅行の様子が描かれた2巻の画帖や、伊賀盆地と思われる田園風景の絵なども見つけ、「絵を描いている姿を見た記憶はないが、絵や仕事を通じて多くの方に親しまれていたのでは」と想像しているそうだ。

 旧居に残されている幾多の作品は没後、義弟である松井さんの父・濵邉貞夫さんが作品集にまとめた。松井さんは「没後四半世紀、明治生まれの濵邉萬吉を知らない人も多くなったが、小作品を中心に、楽しい絵、ほっこりする絵、ユーモラスな絵など、作品を通じて濵邉萬吉を覚えておいてもらえたら」と語った。

 会場は同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」、時間は午前11時から午後6時(最終日は同3時)まで。入場無料。30点前後の作品が並ぶ予定。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)へ。

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