三重県名張市薦生の「薦生遺跡」の発掘調査で、県埋蔵文化財センターは7月26日、約1300年前の奈良時代の竪穴住居跡や中世の柱穴、井戸跡などが新たに見つかったと発表した。
同センターによると、遺跡は名張川左岸にある縄文から中世のもの。周辺には大和から伊賀、伊勢へ向かう道があり、毛原廃寺跡(山添村)や岩屋瓦窯跡(同)など奈良時代の遺跡とも近い。平安時代の文献には薦生牧、鎌倉時代の文献には薦生庄の名前が残されている。
県道上笠間八幡名張線の改良工事に伴い、昨年度と今年度で計約2700平方メートルの範囲を発掘調査しており、昨年度は奈良時代の役所とみられる大型の掘立柱建物跡などが確認された。今年度は5月から、前年の区画の東側で発掘調査を進めていた。
新たに見つかった竪穴住居跡は計3棟で、1辺3メートルから4メートルの方形。うち1棟には、石組みのかまど跡が残っていた。出土遺物から、昨年確認された大型掘立柱建物跡の前後の時代のものと考えられている。
同センターは「一般の人が生活したり、作業をしたりする用途で使われたのでは」と推測。「竪穴住居と掘立柱建物群の向きもほぼ同じであることから、両者の関係が注目される」としている。柱穴や井戸跡については、薦生庄との関係性が考えられるという。
現地説明会
8月6日午前10時から同11時30分まで、現地説明会が開かれる。事前申し込み不要で、少雨決行。駐車場は発掘調査現場から約500メートル離れた薦原小・薦原市民センター駐車場を利用する。
現地説明会当日の問い合わせは、同センターの原田さん(080・9493・6739)または佐藤さん(080・4965・4714)まで。
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