【名張市薦生の「薦生遺跡」で確認された、奈良時代の役所とみられる掘立柱建物跡の発掘現場(三重県埋蔵文化財センター提供)】

 三重県名張市薦生の名張川左岸の段丘上にある縄文から中世の遺跡「薦生遺跡」の発掘調査で、県埋蔵文化財センターは7月19日、約1300年前の奈良時代の役所とみられる大型掘立柱建物跡などを確認したと発表した。

 同センターによると、発掘調査で見つかった奈良時代のものとみられる掘立柱建物跡は4棟で、いずれも柱穴が一辺約1メートルから1・2メートルと大きなもの。時代は、周辺から出土した土器や柱穴の大きさなどから判断した。4棟のうち1棟は古代の役所「官衙(かんが)」に用いられる「長舎(ちょうしゃ)」形式の建物とみられ、東西約30メートル、南北6メートル以上の規模が推定されている。

 同センター調査研究1課の小濵学課長によると、長舎形式の建物が確認されたことで▼律令制下で地方に置かれた郡の役所「郡衙(ぐんが)」▼平安時代中期の文献で名前が見られる「薦生牧(こもおのまき)」(牛馬を育てる牧場)に関わる役所▼律令制下の交通制度「駅制」に関する役所、のいずれかの可能性が推測されるという。小濵課長は「奈良時代の公的な建物が確認されたことは、古代の名張に及んでいた行政機構の実態を知る上で新しい成果」と話す。

 また今回の調査では、約800年前のものとみられる中世の小規模な掘立柱建物跡3棟も確認。鎌倉時代の文献に見られる「薦生庄(こもおのしょう)」の実態を知る上で貴重だという。

 同遺跡は県道上笠間八幡名張線の改良工事に伴い、約1400平方メートルの範囲で、5月から8月末までの予定で発掘調査が進められている。

31日に現地説明会

 31日午前10時から正午まで、現地説明会が開かれる。事前申し込み不要で、駐車場は発掘調査現場から約500メートル離れた薦原小・薦原市民センター駐車場を利用する。

 現地説明会当日の問い合わせは、同センターの櫻井さん(080・9723・5790)まで。