【消火栓からホースを延長し工場外壁に放水する従業員=伊賀市ゆめが丘7で】

 6月5日から11日までの「危険物安全週間」に合わせ、三重県の伊賀市消防本部は8日、工業用塗料・接着剤などを製造するロックペイント伊賀上野工場(同市ゆめが丘7)と合同で、火災発生を想定した消防訓練を実施した。

 同週間は、危険物を取り扱う事業所の自主保安体制の確立を図るため、保安意識の高揚や啓発に関する活動が全国で展開されている。同市では4月上旬、セルフ式ガソリンスタンドで利用客の男性が、消防法で禁じられている携行容器への給油を行った際に火災が発生したことを受け、市民や事業所などへの注意喚起・広報も兼ねて訓練を実施することになった。

 この日の訓練は午前9時30分ごろ、第四類危険物(引火性液体)を取り扱う樹脂工場2階で火災が発生し、1人が負傷した想定で開始。通報の後、屋外に集合した従業員約20人は、2基の消火栓を操作してホースを延長し、迅速に工場の外壁へ放水した。また同時に、担架を使って負傷者役を搬出し、救護所に見立てたテントに搬送。初期消火の後、駆け付けた市消防本部のポンプ車から消防隊員が放水した。

駆け付けた消防隊員に現場の状況を説明する従業員=同

 訓練終了後、市消防本部の井上直丈予防課長は「事業所では担当者の入れ替わりなどで、経験・教育不足によって危機意識が低下してしまうこともある。こうした火災は一瞬で拡大するため、まずは火災を起こさないことが第一。皆さんが取り扱っている物が危険物であることを改めて認識し、日々の業務に当たって頂きたい」と講評を述べた。

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