名張市桔梗が丘8番町の自宅近くにある公園で、岡田純二さん(70)が本来肉食であるクモが植物の蜜を吸う珍しい行動を観察し、関西クモ研究会(会長・田中穂積園田学園女子大名誉教授)の機関誌で論文発表した。「ごく身近な場所にも、未知が潜んでいる。自然は奥が深い」と語る。【アリグモが好むアカメガシワの葉を指す岡田さん。右下は岡田さんが撮影したアリグモ=名張市桔梗が丘6番町で】

珍しい行動観察 「未知」知る面白さ実感

 観察対象としたアリグモは体長5から8㍉ほどで、全国に分布。アリによく似ているが、昆虫が6本脚なのに対し、アリグモは8本脚。腹部のくびれ、触角のように上げた前脚でアリに擬態している。

 論文では、アリの群れに混ざったアリグモが、本州から沖縄まで広く植生する落葉樹「アカメガシワ」の葉の柄の部分から分泌される蜜を吸う行動を記録し分析。過去に国内での観察例は無く、貴重な発見だという。

 伝導ベルトメーカーで営業やマーケティングなどの職種を経験した岡田さんは、定年退職後に地元の自然保護団体に入り、植物や鳥、昆虫の観察に没頭。今回はハチとアリの生態を調べていたところ、偶然吸蜜するアリグモを発見。約20日間にわたって行動記録を付けた。

 先輩の会員に結果を話すと、論文にまとめるよう勧められ、同研究会の機関誌「くものいと」で初めて発表した。「知られていない事実を見つけ出すことに、面白さがある。観察したい生き物がたくさんあって大忙し」と岡田さん。クモが繁殖期に入る今の季節は、「シロブチサラグモ」の生殖行動の観察をするそうだ。

2019年7月27日付752号1面から