【大屋根リングを背にコイをさばく山田さん(本人提供)】
開幕から2か月を迎え、連日多くの来場者でにぎわう大阪・関西万博。この特別な舞台に招かれ、世界に向けて妙技を披露した伊賀地域の2人に話を聞いた。(全2回)
触れずに魚さばく、平安以来「庖丁式」
名張市鴻之台1の飲食店「割烹 和心(まごころ)」を営む山田学さん(48)は、包丁と箸を使って食材に直接手を触れずに切り分けて並べる、平安時代から伝わる儀式「庖丁式」を披露した。貴族が賓客の目の前で調理を見せたことに由来し、宮中行事としても行われてきたという。

日本調理師連合会による庖丁式の紹介行事は5月24日、大勢の観客が集まる大屋根リング前の屋外ステージであり、2流派7人が技を披露した。所属する「山蔭流」の庖丁士2人のうち1人を務めた山田さんは、烏帽子と紫色の直垂をまとい、右手に長さ約40センチの包丁、左手に真魚(まな)箸を持ち、体長約50センチのコイを皮1枚だけ残して切り分け、「五刀之鯉」を完成させた。
山田さんは「寺社で披露する時よりも観客との距離が近く、海外の方も興味を持っている様子だった」と振り返り、「2年前にオファーがあり、名張市在住の山蔭流最高顧問、木下悟さんと練習してきた。他の流派の方とも交流でき、非常に良い機会を頂いた。選んでくださった方や応援してくださるお客さまに感謝したい」と話した。
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