【塼仏で埋め尽くされた「黄金の壁」の下で営まれた法要=名張市夏見で】
三重県名張市夏見の「福典寺」(坂東瑞祐住職)で10月26日、壬申の乱(672年)に勝利して律令国家の礎を築いた天武天皇をしのぶ法要「天武忌」が営まれた。今年は、近くの国史跡・夏見廃寺で出土したものと同型の仏像レリーフ「塼仏(せんぶつ)」で本堂の欄間を埋めた「黄金の壁」がお披露目された。
夏見廃寺は、天武天皇の皇女で伊勢神宮に仕えた初代斎王・大来皇女(おおくのひめみこ)が父の菩提を弔うために発願し、725年に完成後、10世紀末頃に焼失した「昌福寺」とされる。同寺にゆかりがあると伝わる福典寺は、建立1300年に向けて2年前から天武忌を営んできた。

この日は、夏見廃寺と同型の塼仏が出土した奈良の唐招提寺の僧侶らも出席。男女約40人による色鮮やかな天平衣装行列に続き、法要では大小約700枚の金色に輝く塼仏が除幕された。その後、大来皇女に扮した男山みどりさん(48)が、新たに天武天皇の位牌と塼仏を作った事、世界平和や地域発展への願いなどを読み上げた。
法要後、男山さんは「緊張したが、塼仏はすごく奇麗だった」、坂東住職は「皆さまのおかげで立派な法要ができ、感謝しかない。地元名張の歴史をもっと多くの人に知ってもらえたら」と話した。

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