【可動壁を動かす消防団員ら=伊賀市東高倉で】

 台風や大雨時に市街地での洪水やはんらんを防ぐため、国土交通省木津川上流河川事務所と三重県伊賀市などは5月25日深夜から26日未明にかけ、市内の上野遊水地の周囲堤にある伊賀線第1陸閘(りくこう)の操作訓練を実施した。同事務所職員や地元の消防団員ら約60人が、手順を確認しながら開閉作業を実践した。

 陸閘は河川の水があふれて市街地などに流入するのを防ぐ可動式の壁。伊賀鉄道新居駅(同市東高倉)付近の線路上に2022年3月に完成した同陸閘はアルミ合金製で、幅約7メートル、高さ約0・6メートル。下流の岩倉水位観測所で水位が8・4メートルに到達すると、同事務所、市を通じて市消防団上野北分団の団員が出動し、開閉作業に当たることになっている。

閉じた可動壁を開ける操作手順を確認する参加者たち=同

 一昨年の初めての操作訓練は日中に電車の運行を休止して行ったが、昨年からは終電後に実施。消防団員らは25日午後11時ごろから、レールの左右に止水ゴムを詰めて線路上に板状のパーツを取り付けた後、昇降装置で扉体を上昇させ、手動でゲートを閉め切る操作を3グループ交替で行った。

 同分団では、普段は月1回、出水期は月2回、可動壁の状況や同陸閘近くにある倉庫内の備品を点検しており、この日初めて訓練に参加した同分団三田部の30代の男性団員は「作業自体は難しくなかったが、実際の出動時は悪天候だと想定すると、もっと難しくなると思う。年1回の訓練の機会は重要」と話していた。

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