【要救助者役が乗ったストレッチャーを川岸へ引き上げる隊員=名張市上比奈知で】

 三重県の伊賀・名張両市の消防連携・協力協定に基づく救助合同訓練が9月27日、名張市上比奈知の名張川であった。参加した伊賀・名張両消防署の隊員計22人は連携体制の強化などを目的に、ロープを使用した救助方法を確認した。

中州で待つ要救助者役の元へロープを使って移動する隊員=同

 ボートなどを使った水難救助の合同訓練は伊賀市内で6月と7月に実施していたが、ロープ操作が主体の訓練は初めて。今回は大雨による川の急な増水で、中州に1人が取り残されたと想定した。

 参加者は各市が保有する資機材を確認した後、空気式の救命索発射装置で約60メートル離れた対岸にロープを渡して柱や木などに固定。中州にいる要救助者役の元までロープを伝って隊員1人が移動し、つり下げたストレッチャーに寝かせた後、他の隊員たちが力を合わせて2人を岸まで引き上げた。

 名張消防署消防救助室の宮阪昇室長は「ロープを使った救助は手順が複雑で、多くの人数配置や技術が必要。繰り返し訓練を重ね、有事の際に一緒に対応できるよう備えたい」と話した。28日にも別の班の隊員が訓練を行う予定で、今後も年に4、5回程度実施していくという。

 両消防本部によると、2017年から21年までの5年間に発生した交通事故などを含む救助件数は伊賀市で271件(うちロープ使用25件)、名張市で240件(同13件)。中州での救助事案は、伊賀市で17年に1件あった。

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