乳がんをレモンで解説

 乳がんは自分で発見できるがんの一つ。しかし、どのような症状が現れるのか、セルフチェックの具体的な方法など、知られていないことは多い。
 乳がん早期発見の啓発などに取り組む、東京のNPO法人「ラン・フォー・ザ・キュア・ファンデーション(RFTC Japan)」は、そうした疑問に答えようと全国でセミナーを開くなどしている。日英バイリンガルのスタッフが多数いることから、英語での情報伝達にも積極的だ。
 今回は、同法人アウェアネスプログラムマネジャーの鈴木咲子マリアさん(30)=右下写真=に話を聞いた。

 ―セミナーは「レモンプロジェクト」と呼ぶそうですね。レモンを乳房に見立てて説明されているとのことですが。

 鈴木さん 実際の乳房を描いた図より見やすいのではないかと考えました。男性にもよく見て知ってもらいたいです。レモンの断面は組織を説明するのにも適しています。しこりについても、覚えやすいよう「レモンの種のような」と表現します。

 ―セミナーを始めたのはなぜでしょう

 鈴木さん 私どもの理事長は、乳がんサバイバーである米国人女性です。スタッフも外国人や日英バイリンガルたちですので、日本と他の国との、乳がんについての認識の違いを感じてきました。
 例えば、米国に比べ日本は検診受診率がかなり低い状況にありますし、乳がんに苦しむ男性患者がいることなどもあまり知られていません。そうしたことや、乳がんに関する正しい知識、セルフチェックの仕方などについて、心に残る方法で伝えたい、という思いがあったからです。

 ―セミナーはどれくらい開催されましたか。また、どのような内容ですか

 鈴木さん 2013年からこれまでに全国で175回開き、計約4千人の参加がありました。スライドを使い、乳がんの基礎知識やセルフチェックについて講習をした後、セルフチェックのワークショップをします。ワークショップでは乳がん触診モデルを使い、参加者にしこりを見つけてもらいます。私どもが無料で配布している季刊誌「PiNK」もお渡しします。

 ―この季刊誌を以前、三重大学医学部附属病院の「リボンズハウス」で拝見しました。日本語と英語の記事が載っていますね。リーフレットにも英語が併記されています

 鈴木さん 日本に住む外国人は増えていますが、乳がんに関するこうした英語の情報は少ないので、日本のインターナショナルコミュニティーにも必要な情報を発信しようと思いました。

 ―先ほど「日本と他の国との違い」と言われました。活動の方法などについてはどうでしょう

 鈴木さん 私たちは、親しみやすく、実際に役立つイベントを目指しています。日本では、チャリティーや啓発活動に遊びの要素があると「不謹慎だ」という声が上がることがありますが、イベントは楽しさがなければ長続きしませんし、足を運ぼうという気持ちにもなりにくいです。
 イベントの中でも、チャリティーイベントでは寄付も募りますが、例えば寄付の文化が定着している米国では、皆が楽しみながら寄付をすることに抵抗はありません。皆で募った寄付を通して、必要なところに支援を届けられるのは素晴らしいことではないでしょうか。

 ―これまでの開催で、参加者からはどんな声が聞かれましたか

 鈴木さん レモンプロジェクトに参加した男性の96%、女性の97%から「参加してとても良かった」もしくは「良かった」との回答を得ています。
 個人的に印象深かったのは「レモンプロジェクトで学んだことをもっと早く知っていたら、しこりが大きくなるまで待たなかった」という乳がん経験者の方からの感想です。
 しこりがあったけれど「乳がんは怖い」というイメージがあり、なかなか受診できなかったとのことでした。この時、活動の必要性を痛感しました。

 ―今後についてお聞かせください

 鈴木さん 若年性乳がんも増えていますので、定期的なセルフチェックを呼び掛けていきたいです。今後も乳がんについて正しく知って、必要な行動に移すためのきっかけをつくれたらと思います。

  同法人の「レモンプロジェクト」は、10人から100人の参加があれば全国どこでも開催が可能だという。セミナー費は無料だが、主催者は会場やプロジェクターなど必要機材を用意する。開催依頼は同法人ホームページ(https://rftcjapan.org/feature/lemon-project/)へ。
 問い合わせは同法人TEL03・6 4 2 0・0860まで。

伊賀タウン情報YOU 2019年2月前半(741)号」より