男女合わせ罹患(りかん)率1位

 大腸がんにかかる人が増えている。国立がん研究センターの2017年がん罹患数予測によると、男女合わせると、大腸がんは1位だ。また、部位別がん死亡数は大腸がんが女性の1位となっている(男性3位)。乳がん同様、早期発見が重要だが、検診受診率は50%にも満たない。今回は、大腸がん啓発活動に携わるフリーアナウンサーの中井美穂さんに話を聞いた。

医師と患者つなぐ役割

 -大腸がんの啓発に関わるきっかけは何だったのでしょうか

中井さん 2002年に子宮筋腫の手術をし、その後、腹膜炎を患いました。腹膜炎の治療のために1年間、ストーマ(注1)を経験しました。そうしたことが縁で、ストーマが必要な人もいる大腸がん患者の方への支援活動や、啓発活動に参加することになりました。

 -ストーマを使用している人を意味する「オストメイト」という言葉がありますが、認知度は高くないようです。オストメイト対応トイレも増えてきましたが、そこに掲げられたマークもあまり知られていないと聞きます

▲オストメイトマーク

中井さん 対応トイレが公共の場で増えてきたのもここ何年かのことですし、知らない人は多いかもしれませんね。オリンピックを控え、対応トイレは今後も整備されていくでしょう。知って頂きたいのは、オストメイトは見た目では分からないということです。そうした病気を抱えている人がいるということを知って、思いやる心を持つことが大切ではないでしょうか。

 -大腸がんのイベントでは司会を務められています

中井さん NPO法人キャンサーネットジャパンが主催する「ブルーリボンキャンペーン」という取り組みですが、イベントには患者や家族の方が多く出席されます。不安を抱える方々が知りたいのは、最新の情報、正確な情報です。私は、医療側と患者側をつなぐ役割ができればと思っています。

相談することが大切

 -支援活動に参加して、感じたことなどをお聞かせください

中井さん私自身が患者だった体験からも言えることですが、自分1人で悩みを抱え込まず、誰かに相談することが大切です。今は、同じがんを体験した人たちの患者会もたくさんありますし、がん拠点病院には相談支援センターがあります。知りたいことを受け取るには、患者自身、自分で動くということも必要だと思います。

 -大腸がんは、早期に発見すれば治りやすいと言われますが、2016年の全国の受診率(注2)は41.4%だそうです。そして疑いが見つかった場合に受ける精密検査の受診率は大腸がんが一番低いようです(注3)

中井さん 大腸がん検診では便潜血検査が広く行われていますが、時間がないなどの理由で受けない人もいるようです。大腸内視鏡検査となる精密検査を受けない理由にも、血液が混じったのは生理、あるいは痔(じ)のせいだと思ったというものもあると聞きます。でも、それは言い訳ではないでしょうか。大事なことだと本当は分かっているのにそのように考えたことで、もし発見が遅れたとしたら……。ただ、検診を受けたから絶対大丈夫ということもないし、検診を受けず、がんにならない人もいます。一人ひとりの身体は皆違います。結局、自分の身体のことは自分で責任を持つということだと思います。

変化書き留める工夫を

 -責任を持つためには、自分の身体のことは自分で考えるということでしょうか。検診に限らず、健康を考える上で大切ですね

中井さん 自分の身体のことについてですが、私自身、病気をして思ったのは、医師は患者の情報をできるだけ把握したいのに、患者側は不調をうまく説明できない場合も多いということです。いつ、どんな症状だったか、どれくらい続いたかなど忘れてしまいがちです。ですから日頃から自分の身体の変化を手帳に書き留めておくなど、ちょっとした工夫をするといいと思うのです。また、がんのリスクとして遺伝的要因がありますが、家族の病歴を知らないこともあります。そういうことも、親類が集まった時などに確認できます。
 私も自分の命を逆算して考える年代になりました。「健康寿命」を考え、自分の身体の責任は自分で持つ、ということを意識していきたいです。

 注1 手術などによって腹壁につくられた排泄(はいせつ)口のことで、人工肛門などの消化器ストーマと、人工膀胱(ぼうこう)などの尿路ストーマがある
 注2 国民生活基礎調査による推計値。国立がん研究センターがん統計より
 注3 2015年度地域保健・健康増進事業報告

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中井美穂さんプロフィール
 1987年に日本大学芸術学部を卒業後、フジテレビに入社。アナウンサーとして多数の番組に出演。95年にフジテレビを退社後も、「世界陸上」のメインキャスターを務める他、司会、演劇コラムの執筆など幅広く活躍。また、NPO法人キャンサーネットジャパンに賛同し、がん啓発のイベント・学会の司会、コーディネーターなどの活動にも取り組んでいる。

伊賀タウン情報YOU 2018年6月後半(726)号」より