治療と仕事の両立、支える仕組みを

▲オフィスで働く高橋さん(右)
=東京都千代田区で(提供写真)

一般社団法人「CSRプロジェクト」

 日本人の2人に1人が、がんにかかるといわれる時代。うち3人に1人は働く世代である。働きながら治療をする人も増える一方で、勤務者の3人に1人はがんと診断された後、離職している=注。そうした状況に向き合い、がん患者の就労支援を続けている団体がある。一般社団法人「CSRプロジェクト」(桜井なおみ代表)だ。がん経験者の自立に向けた情報発信、就労に関する電話相談の実施、経験者が直面する社会的問題の調査などを行っている。

 「がんと診断されても、すぐに仕事を辞めてしまわないで」と呼び掛けるのは同法人理事でがんサバイバーの高橋みどりさん(63)。「治療の計画ができ、ある程度先が読める段階になった時、自分の身体のことを見極めながら仕事のことを考えてほしい」と話す。特に必要なのは、会社の就業規則を読み、どのような制度が使えるのかを調べることだという。復職にあたっては、「出来ないことをいくつも挙げるより、出来ることをしっかり伝えては」とアドバイスする。
 更に高橋さんは、国が2018年度の診療報酬改定で「療養・就労両立支援指導料」を定めたことにも触れ、「これは、主治医が患者の会社の産業医や人事担当者と連携し、患者の治療と就労の両立支援計画作成に協力することで、主治医の病院に指導料として1万円が支払われるというもの。治療をしながら働く環境整備につながるのでは」と期待を寄せる。

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会社の意識変革も

 治療と仕事を両立させるには、会社側の意識の変革も欠かせない。
 高橋さんは「イルイルは、英語のill(病気の)に『同じ境遇の人たちはイル』という意味を重ねたものです」と名前の由来を話し、「同じ病気の仲間に気兼ねなく相談できる場です。ぜひ、利用してください」と呼び掛けていた。
 高橋さんは「『がんになっても働き続けられる会社』であることは企業イメージの向上にもつながる。今後、人材不足が懸念される日本企業は、患者を支える仕組みづくりを進めてほしい」と話していた。

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 同法人では、第1土曜と第4火曜に、働くがん体験者、もしくは今後働く意思があるがん患者や家族のための電話相談を行っている。相談は無料だが、申し込みが必要。申し込みの詳細は同法人のウェブサイト( http://workingsurvivors.org/secondopinion.html )で。

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  また、同法人の代表が設立し、高橋さんが勤務する「キャンサーソリューションズ株式会社」(東京都千代田区)は「ワーキングサバイバーズハンドブック」(全3冊)=写真下=を監修。治療と仕事との両立についてさまざまなメッセージを収録している。こちらは中外製薬のウェブサイト「がん情報ガイド」( https://www.gan-guide.jp/ )からダウンロードできる。

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 注:2016年12月8日厚生労働省健康局がん・疾病対策課「がん患者のおかれている状況と就労支援の現状について」より

伊賀タウン情報YOU 2018年3月後半(720)号」より