レントゲンで解説

手で触ることのできないような乳がんをマンモグラフィではどのようにして見つけるのか、不思議に思われる方も多いかと思います。そこで、マンモグラフィでは乳がんがどのように写るのか、実際のレントゲン写真を示しながら解説しましょう。
図1をご覧下さい。これは乳房を横から挟んで撮影したもので、左右の乳房を対称性に並べて観察します。画面の上が患者さんの頭方向、下が足方向となります。中央部のぼんやりとした大きな白い部分が乳腺、周囲のグレー色の部分が脂肪です。ほぼ左右対称になっているのがわかりますね。
ところが右乳房のオレンジ色の矢印の部分をご覧下さい。乳腺の上方に、はっきりとした“白い塊(かたまり)”があるのがお分かりいただけると思います。
左乳房の対応する部分には何も無いですね。これが乳がんです。
しこりとして触れることのできる乳がんは、このように白い塊となって写ってきます。この塊の形や境界部分の様子を細かく観察して、良性か悪性かを判定します。

乳がんで見られる石灰化

竹田寛教授 三重乳がん検診ネットワーク代表 三重大学医学部付属病院副院長

次に図2をご覧下さい。左乳房の矢印の部位に、細かい砂状の白い影がたくさん集まっているのが見えます。これを医学用語で “石灰化”と呼んでいます。石灰化は体中のあらゆる部分の色々な病気で出現しますが、乳がんでもよくみられます。特に触ることのできない乳がんでは、この石灰化を見つけることが発見の糸口になります。石灰化の検出には、マンモグラフィが他のエコーやMRIに比べ最も優れています。
しかも誰が見てもすぐに気がつきますから、マンモグラフィで触ることのできない早期の乳がんがどんどん見つかるようになったのです。
しかし石灰化があるからといって必ずしも心配する必要はありません。石灰化は悪性の乳がんだけでなく、良性の腫ようやその他の病変でも現れます。石灰化の形や並び方、分布の仕方などから良悪を判別します。明らかに良性の石灰化の場合には、それ以上何もする必要はありません。
マンモグラフィで発見される石灰化は、ほとんど良性のものなのです。しかし稀に悪性の石灰化あるいは悪性の疑いを否定できない場合があり、その時はエコーやMRIをすることになります。「石灰化があると言われたけど、どういうことかしら?」という質問をよく受けますが、石灰化とはこのような意味を持っています。
お示ししましたように、乳がんはマンモグラフィで“白い塊(かたまり)”か、または“石灰化の集まり”として描出されます。しかしその読影は容易ではありません。しっかりしたトレーニングと、かなりの熟練が要求されます。
三重乳がん検診ネットワークに所属する医師や放射線技師は、まさにそのようなトレーニングと熟練を積んだ者の集合体なのです。