【土木工事が進むトライアル出店予定地付近(小型無人機で2025年12月撮影)】
干支「午」を象徴するかのように、三重県名張市の小売業界に今年、一頭の駿馬が駆け込む。九州地盤の「スーパーセンタートライアル」の進出だ。同市蔵持町里で7月開業が予定され、24時間営業と低価格を武器に、地域の買い物地図を大きく塗り替える可能性がある。

トライアルは福岡を拠点に全国300店以上を展開。生鮮食品から日用品、衣料品まで扱い、セルフレジやIT活用による省人化で価格を抑える経営を強みとする。深夜でも買い物ができ、地方を中心に支持を広げてきた。伊賀地域への出店は今回が初めてだ。
同市ではこれまで、イオン系やオークワ、ぎゅーとら、MEGAドン・キホーテUNYなどが一定の均衡を保ってきたが、構図は既に動き始めている。昨春には、24時間営業の「ラ・ムー」が夏見に出店。トライアルの参入で、価格と営業時間を軸にした競争は一段と激化する。
トライアルは昨年12月、蔵持地区で法律に基づく地元説明会を開催。配布資料によると、店舗面積は4320平方メートル、駐車場は200台規模となる。参加したある住民男性は「出店で近隣スーパーが閉店すれば、車を使えない高齢者が買い物難民になる」との懸念を示した。
既存店に走る緊張
競争の最前線からは、より切実な声が上がる。市内のあるスーパーの男性店長は「正直、トライアルはかなり怖い。向かいのぎゅーとらがどう対抗するのかも気になる」と語る。別のスーパーで働く40代男性従業員は「奈良のトライアルを視察したが、肉や総菜の品ぞろえは想像以上。客層は違うが、価格の安さは確実に脅威だ」と話す。
一方、生活環境への影響を心配する声もある。蔵持地区で子育てをする50代パート女性は「夕方は既に渋滞しており、買い物の時間をずらしている。交通量が更に増えれば、通学する子どもへの影響が心配だ」と口にする。

期待と課題
期待の声もある。桔梗が丘に住む80代主婦は「歩いて行ける場所ならもっと良かった」としつつ、「顔なじみの店員がいる店も大切だが、新しい店ができれば一度は見てみたい」と話す。緑が丘の80代男性は「店が多すぎる気もするが、買う物によって店を使い分けているので、選択肢が増えることは悪くない」と冷静だ。
旧市街地に住む20代会社員男性は「ドラッグストアによく行くが、早く閉まって困ることがある。コンビニにない物が急に必要になった時、深夜でも開いている大型店があると助かる」と話した。
低価格と24時間営業がもたらす利便性の一方で、交通、安全、地域商業への影響という課題も垣間見える。一頭の駿馬の登場をきっかけに、名張の買い物地図は今年、どう変わるのか。
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