【草部さん(右端)から野菜の説明を受ける子どもら=名張市つつじが丘北5で】
三重県名張市のつつじが丘市民センター(つつじが丘北5)で毎月第3水曜に開かれる子ども食堂「おにぎりくらぶ」。地域の小学生が、鍋で炊いた白米のおにぎりや旬の野菜を使った味噌汁を、ボランティアと一緒に作りながら味わう学びの場だ。代表の草部豊美さん(59)は「子どもたちに生きる力をつけてほしい。ここへ来て楽しんでくれたら」と話す。

活動を支えるのは、24年前から市内で子育て支援を続ける団体「おじゃまる広場」。2020年、食と子どもの距離が開きつつある現状に危機感を抱き、「自分の手でご飯を作る文化を子どもたちに伝えたい」と本格的に取り組み始めた。当初は、「子ども食堂は貧困家庭向け」という誤解がまだあったため、理解が広がるまでに数年を要した。
「家庭環境に関係なく、食事を作りたい子どもが来られる場所に」という揺るがぬ思いで対話を重ね、継続した結果、今では40代から70代の男女10人がボランティアとして活動を支えている。
草部さんは自身のベジタリアン生活の経験を生かし、地元の野菜を中心にした地産地消のメニューを組み立てる。動物性食材や小麦を使わず、アレルギーや体調などにも配慮した構成だ。
旬の野菜は、有機農業に取り組むNPO法人から寄贈され、米はJAや地域住民が提供。みそや梅干しは、草部さんが手作りしている。ラップを使わず、煮沸した布巾で握るおにぎりは、環境にも優しく、ふっくらと仕上がるのが特徴だ。
炊飯の過程、知らない?
毎回、子どもたちは班に分かれ、米を研ぐ、タイマーで炊飯時間を測る、シイタケと干しわかめでみそ汁のだしをとるなど、食材に触れながら工程を学ぶ。皮を剥かずに野菜を使うことで、素材そのままの栄養を知る機会にもなる。
「電気がなくても鍋でご飯が炊ける」と伝えても驚きが薄い子どもが多く、家庭では炊飯の過程を見る機会がほとんどないことを実感したという。それでも、通ううちに家事を手伝えるようになった子、家では野菜を残すのにここでは完食する子など、変化が少しずつ見えてきた。保護者から感謝の手紙が届くこともあり、大きな励みになっている。
市内の他の子ども食堂との連携も進み、余った食材を分け合う仕組みが整ってきた。現在は定員に達しており、例年は4月と10月につつじが丘小学校を通じて新規募集を行っている。
草部さんは「無理なく、長く続けていくことが何より大切。子どもたちの安心できる居場所であり続けたい」と未来を見据えている。















