【湖畔に立つ青蓮寺レークホテル(小型無人機で撮影)】

1月13日で営業終了

 三重県名張市の青蓮寺湖畔の高台に建つ「青蓮寺レークホテル」(同市青蓮寺)が、来年1月13日で営業を終了する。半世紀にわたり旅人や地域の人々らに寄り添ってきたが、老朽化には抗えず、静かにその役目を終える。北村泰弘支配人(60)は「最後の日まで、いつも通りのおもてなしを尽くしたい」と語る。

 開業は1975年。青蓮寺ダム完成から5年、周辺が室生赤目青山国定公園に指定され、ぶどう狩りも広まり、地域が観光地として息づき始めたころだった。

 現在は近鉄・都ホテルズが運営。客室は全20室がレイクビューで、宴会場や露天風呂付き温泉、ファミリープールまで備える。45人の従業員の多くは、地元の人たちだ。

 訪れる人は、香落渓や赤目四十八滝といった観光名所が目当ての人だけでなく、湖畔の静けさや四季が織りなす風景に癒やされるために足を運ぶ人も多かった。大阪や名古屋からの利用が中心で、「ここに来るとのんびりできる」と毎年必ず訪れる常連客もいた。

 地域の人たちにとっても、宴会や法事など、人生の節目をともにする大切な場所だった。伊賀米や伊賀牛といった地元の恵みを味わい、集いの場として親しまれてきた。

 北村支配人は営業終了の一番の理由を、建物の「老朽化」と語る。利用客数もコロナ禍からは回復したものの、勢いは戻りきらなかったという。「長く通ってくださった皆さまに申し訳ない気持ちでいっぱい。50年間、本当にありがとうございました」と話した。

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