【中秋の名月に照らされるコウノトリ=伊賀市岩倉で(福岡さん撮影)】

 国の特別天然記念物・コウノトリが三重県伊賀市に飛来してから約2か月が経った。8月下旬には2羽が同市岩倉の電柱などをねぐらにし、一時は姿が見えなくなっていたが、9月下旬には3羽に増え、10月上旬には1羽のみとなった。

 岩倉区長の福岡資弥さん(67)は8月下旬から、午前5時台に飛び立ち、午後6時台に帰ってくる姿を毎日のようにカメラに収めてきた。3羽に増えた9月下旬以降、2羽または3羽が集落内で場所を変えながら電柱上で夜を明かしていた。ある時には、1羽がくちばしをカスタネットのように鳴らす「クラッタリング」をし、もう1羽がすぐ近寄ってくる様子も見られた。

 兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)によると、コウノトリは日中、田んぼや川沿い、湿地などで、えさとなる昆虫や小動物を探すことが多い。伊賀地域に飛来が確認されたここ数年は、長くても1週間から半月ほどだったが、ねぐらに適した場所と良いえさ場があるため、長く滞在しているのではないかという。

 福岡さんは「中秋の名月」の翌朝、月をバックにたたずむ姿を収めた。10月中旬以降は元のねぐらには戻ってきていないものの、付近で目撃情報はあるという。「できるなら伊賀に住みついてほしい」「今日も帰ってきてくれるかな」――。住民らは一喜一憂しながら観察を続けているそうだ。

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