【はしごで甌穴内部に下り、見上げる参加者=伊賀市高尾で】

 長い年月をかけて川底を石が削ってできた、深さ約4メートルのくぼみ「逆柳の甌穴(おうけつ)」(三重県指定天然記念物)の内部へ年に1回だけ入ることができ、川遊びも楽しめる催し「高尾逆柳の甌穴まつり」が、7月21日に伊賀市高尾で開かれ、県内外から100人余りが参加した。

 逆柳の甌穴は、前深瀬川に注ぐ床並川にあり、普段は土砂や枯れ葉で埋まり、一見しても穴があるようには見えない。同まつりを運営する地元有志の団体「千方伝承会」のメンバーとボランティアらが前日、川の中に土のうを並べて水の流れを変え、土砂などを人力でかき出している。

川遊びや魚とりをして遊ぶ家族連れ=同

 参加者はこの日、高尾の床並集議所前から徒歩で約20分、床並川沿いを1キロ余り歩いて会場へ向かい、道中では、地元ゆかりの豪族・藤原千方(千方将軍)や四鬼に扮したスタッフと記念撮影も楽しんだ。会場では、ヘルメットとハーネスを着用した参加者たちが甌穴に入っていき、「深い」「ひんやりする」など感想を口にしていた。

 甌穴のすぐ下流は、ニジマスとアマゴのつかみ取りができる川遊びスペースが設けられ、子どもたちが笑顔で魚を追い掛けていた。ボーイスカウトの仲間と訪れた市内の小学5年生の男児は「穴の中は深くてけっこう怖かった」と感想を話した。

甌穴がある付近。普段は向かって右側に水が流れている=同

 同伝承会の西村隆三会長は「甌穴内部へ入るのは、なかなかできない経験なので、遠方からもお越しいただき、ありがたい。子どもたちが川で遊ぶ姿を見られて、私たちもうれしかった」と汗をぬぐいながら話していた。

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