【荷を手に臨時列車に乗り込む講員たち=名張市赤目町丈六で】

 奈良・東大寺二月堂の修二会(お水取り)で使う、松明(たいまつ)の材料を三重県名張市から納める鎌倉時代からの伝統行事「松明調進」が3月12日にあり、今年は近畿日本鉄道(近鉄)が赤目口駅から奈良駅まで直通運行する臨時列車で運んだ。

赤目口駅に到着した伊賀一ノ井松明講の行列=同

 行事は同市赤目町一ノ井地区の「伊賀一ノ井松明講」(森本芳文講長)が続け、今年が第776回だという。近年は徒歩と車で東大寺まで運んでいたが、今年は近鉄の協力を得て列車輸送とツアー化が実現した。

 雨となったこの日、2月11日に加工したヒノキの松明の荷(約30キロ)5つを、講員や近大高専の学生ら約90人が同市赤目町一ノ井の極楽寺から赤目口駅まで、法被とかっぱ姿で行列を組んで運んだ。駅前では出発式が開かれ、一見勝之知事や北川裕之市長、近鉄の原恭社長らが出席した。

 原社長は「歴史ある伝統行事が引き続き行われること、この地が大きな役割を担っていることを広く知ってもらう一助になれば光栄」とあいさつ。森本講長は「大勢の方にご協力頂き感激。松明は重いが、歴史はもっと重い。それを伝えたい」と話した。

 式の後、「お水取り松明調進」のヘッドマークと「貸切」の表示がある4両編成の列車がホームに到着し、荷を担いだ講員やツアー客らが次々に乗り込んでいった。

奈良へ向け動き出した臨時列車=同
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