【くみひもシューレースを紹介する松田社長】

 伊賀くみひもの新しい商品提案として、スポーツ業界などから注目されているのが「くみひもシューレース」だ。今年創業70周年を迎えている三重県伊賀市上野鉄砲町の糸伍株式会社が2019年から開発を始め、21年2月に発売した。

 開発段階の市場調査で、プロ野球やプロサッカー、陸上選手などのアスリートから「綿の靴ひもは年3回くらい切れてしまう。もっと丈夫なものが欲しい」と声があったという。

 伊賀くみひものルーツをたどれば、戦国時代の武具や巻物に使われ、戦地で自分を守るための丈夫で重要なパーツであったことから強さには定評がある。一般の靴ひもが、70本ほどの綿の糸を組んで1つのひもにしているのに対し、くみひもシューレースはポリエステルの糸をスポーツシューズなら120本、スニーカーなら140本ほど組んだものが使われている。試験機関の実験データによると、くみひもシューレースは930ニュートンの重量に耐え、普通の靴ひもの約2倍の強さという。

 また、組みひも技法を使うと表面が凸凹になり、ほどけにくくなる。こうした優れた特長から現在、サッカーJ1、J2、J3の選手約200人に愛用されているそうだ。

 カラーバリエーションは14色。価格はスニーカー用が1800円(税別)、スポーツ用が2000円(同)。同社ウエブサイト、または同市上野丸之内の製パン店「BASEトルタロッソ」で販売している。

 4代目の松田智行社長(48)は「需要の主である着物の帯締めでは国内で6から7割のシェアを持つ伊賀くみひもの良さを、もっともっと知ってほしい」と話している。

2024年2月10日付861号8面から

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