【自身の作品の前でギターを弾く吹上さん】

名張市新田の画家 吹上賢明さん(73)

 小学生のころから、プラモデルの箱に描かれた絵柄を模写するなど、絵を描くのが好きだった。高校時代は油絵を深く学び、美術展へ足を運んでは自分なりに描いていた。東京のアニメーション制作会社でのアルバイトを経て故郷の大阪へ戻り、26歳の時に初めて挑戦した二科展で50号の人物画が入選した。

 結婚の数年後に名張へ転居してからは、画業と並行して自宅で画塾を開き、受験生や老若男女に教えてきた。ここ10年ほどは地元の美旗小の美術クラブや北中の美術部で講師・ボランティアとして指導に当たる他、週に3日は学童保育のスタッフとしても忙しい日々を送っている。

 作風は「絵と写真の融合」とも表現される抽象画で、戦後の米国の抽象画界を代表するジャクソン・ポロック氏の「アクションペインティング」に似る。墨汁と油絵の具を激しく紙に打ちつけ、できた絵柄を写真に収めてパソコンソフトで加工して仕上げる手法だ。

 仕事を離れれば、趣味の音楽に浸る。中学時代にビートルズの影響でフォークギターを始め、後にエレキギターも手にして既存曲を自分なりに演奏する他、オリジナル曲も30ほど作った。年に数回は地元のイベントに出演し、最近は音楽仲間とのユニット「くみちゃんandけんちゃん」で動画投稿サイト「ユーチューブ」に演奏の様子をアップしている。

 日々、絵画と音楽に向き合い、「健康を意識して体を動かすようにしながら、今後も自分にできることで地域に還元していきたい」とほほ笑んだ。

2024年1月27日付860号10面から

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